自動車以外は「中古市場」が発達せず、電気製品は新品同様でスイッチを入れれば、まだ使用可能なものがゴミ置場に並んでいたりする。このように「モノ」を大量生前し大量消費すれば当然であるが、フローとしてのGNPは上がる。従って経済成長率も上がることになる。しかし一方で、ストックとしての国民総資産は増加はするがロスも大きい。

なぜならば、中古市場が未発達であることにより、破棄された耐久消費財はゴミとして市場から消えていくからである。そして、ゴミ処理能力までを考慮すれば、有効資源の廃棄、ゴミ処理場の確保、ゴミ処理中の公害発生など、経済活動に対していくつかマイナスの効果も生じるようになる。

環境とリサイクルについて考えてみよう。社会資本整備の目的のひとつにリサイクルとゴミ処理は避けて通れない課題になっている。そして、その重要性は21世紀になるとますます高まってくる。リサイクルのシステムは、メーカーから消費者まで連続的なつながりを必要とすることはいうまでもないが「中古市場」を活性化することがゴミを少なくする上で最も効果的な方法のひとつにもなる。

「質」を重視する社会とはモノを大切にする社会であり、有効な資源を利用できるうちは徹底的に利用するシステムを作ることである。たとえ話をすると、ライン川はスイス、オーストリアから流れ始め、ドイツ、フランス、ベルギー、オランダを経て大西洋に流れ込むという。

その際に、4、5回、同じ水を採取、排水することによって、ライン川の水は繰り返し利用される。したがって、オランダでは既に何回も人間に利用された水を再利用していることになる。また、そのように水を徹底的に利用することによって、ヨーロッパの文明が守られてきたのである。