当社がこれからさらに拡大・発展していくために、ヒト、モノ、カネのなかで最も重要となるのが「人」である。世界にネットワークを持つスカウト会社やより高度な大学をはじめとして質的人材を確保するためのあらゆるルートや人脈を構築することが求められている。また、他社にはない独自性を持った採用戦略が必要である。拠点ごとのより一層の採用力の強化はもとより、グループあげての採用力を強化する。


F10においては、①OYL社、ダイキンオーストラリア、本社が共同でオーストラリアの大学でリクルーティング活動、②大金中国と本社が共同で「中国人学生合同説明会」に参加、③マッケイ社と本社が共同で、「ボストンキャリアフォーラム」に参加などを実行している。また、OYL社、ロテックス社、日本無機などの買収や、格力との提携も、当社にない技術やノウハウを持った人材の確保にもつながった。一連の取り組みにより、F10を支える人材を強化できた。世界一になったことで、これまでにない一流の人たちや優秀な人材が集まり、コンタクトできるようになってくる。人の採用にあたっても、グローバルーナンバーワン企業になったことを前面に出し、より高度な質的人材を、より多く採っていきたい。


単に退職補充など空きポジションに人を採用するという観点だけではなく。これからの事業の発展を担う質的人材、将来の幹部候補の採用に即座に着手し実行することが何より求められている。新中期5ヵ年計画では、海外拠点における開発機能の現地化を目指す。各拠点では、これまで以上の技術者の大幅な増強が必要。優秀な技術者を大量採用し、徹底した早期育成策を展開する。学生に人気のある企業ほど学生との接触回数を増やし、プレゼンスを高めている(リクルフターによる大学へのアプローチ、大学内セミナーへの積極参加、インターンシップ機会の提供、奨学金の提供など各国独自の施策)。


海外で採用した学生の教育については、日本に来てもらって短期に技術を習得できる育成計画を立案し実行する。世界の優秀な人材が集まる大学からの採用も強化する。優秀な中国人やインド人は、米国の大学に留学する傾向がある。出身国の大学で優秀な人材を採用するとともに、出身国から海外に留学している優秀なグローバル人材の採用も推進する。2011年度は、採用活動もしながら、米国、欧州、中国などで、どの大学に、どのような国籍の人材がいるのか人材マーケティングを実施する。その結果をもとに、自国に戻り活躍したい人材に訴求するキャリアパスや処遇条件の確立や、奨学金、国を越えたインターンシップの場の提供などを通して採用力を強化する。そのために、国、地域を越えて世界中を動きまわり、グローバル採用を推進する責任者を配置する。


欧州、米国などの先進国に加え、インド、ブラジルなどの新興国で事業発展を担う経営幹部の確保が急務である。事業戦略の明確化と並行して人材を探し、必要な人材を早期に確保する。これまで、ダイキン(本社)経営幹部や拠点長の人脈・ネットワークや世界にネットワークを持つスカウト会社を活用して、ライバル他社や業界からの人材獲得を進めてきたJ今後。スカウト会社のトップやキーマンとの密な人脈を形成し、人材探索・人材獲得力を強化する。優秀な人材ほど、自分のビジョンとマッチする明確なキャリアパスと信賞必罰とも言える成果主義の処遇を求めるもの。全グループ従業員が、目標を持ってチャレンジできるキャリアパスをグループ各社ごとに構築することを目指す。


また、各拠点の取り組みの充実に加え、グローバル人材を意識したキャリアパスの構築も目指す。特に、優秀なグローバル人材については、国・地域を越えてのキャリアパスの具体化が重要。挑戦するテーマや、ポジションの可能性の提示に加え、どの国や地域に活躍の場所があるか。また、日本でのリーダーシップ教育や技術教育の提供など、各拠点だけにはとどまらない仕組みも必要。当社にはまだ明確なキャリアパスがない。優秀な人材を確保するためには、グループ共通のキャリアパスを作る必要がある。