おもいでメガネと内ちんの思い出
音楽業界にいた時の同僚が本を出版した。
彼が介護職についていたことを初めて知った。
彼が音楽事務所に中途採用で入ってきた時、前職はオフィスコーヒー営業のトップセールスマンだったと聞いた。
今よりもっと傍若無人な物言いだった私は
なんで辞めたの?もったいなーい!
とズケズケ言ったが、
確か「違う業界に飛び込みたかった」と聞いた記憶がある。
見た目派手で遊び人に見えた彼は、
職場の内外でよくチャラさをいじられていたが、
そんなイジリも、また仕事上でのことでも、
彼が声を上げて怒ったのを見た記憶はなかった。
おそらく怒りポイントに触れた時でも、
逆に大きな口を開けて笑ってやり過ごしていた。
と思う。
そんな彼とFBでつながり、
国家資格をとってグループホームで働いているのを知った時、
「違う世界に飛び込みたい」という情熱は変わっていないのだな、と思った。
「おもいでメガネ」
絵本のようなファンタジーのような実話にもとづくエッセイ。
認知症の母の介助(最近介護と言わないようにしてる。だって介護までいってないもの!)に
日々悩み右往左往しているわたしには
この本の優しさが「大丈夫」と言ってくれている気がした。
そう、
いつも誰かに
「大丈夫」と言って欲しい。
それが介護する家族の願いのひとつだと思う。
父が亡くなった時、家に引き取る直前まで数ヶ月施設に入れたことが、
わたしの今生の人生での最大の後悔となった。
だから母には、存分なことをしたい。
それでも日々悩み、時に近くの老人ホームを検索する自分もいる。
正解はない。子供はいつも親のためを考えてる。
だけど、感情を支える「知識」は大切だ。
「おもいでメガネ」は医学書ではない。
でも、介助者の視点を変えてくれる、包み込んでくれる優しさに溢れている。
彼の優しさが、介護者の光になりますように。
「おもいでメガネ」
ないとうともあき