何となく回想
音楽プロダクションのスタッフをしていた時、
アーティストたちと自然に、フランクに話をすることはあまりなかったように思う。
スタッフとして話す時のそれは仕事の話であり、意見を闘わせるのはライブやレコーディングなどの作品に対してだった。
ツアーに行って打ち上げをしても、役割は別々で、
メンバーは地方のメーカープロモーターや媒体の方との交流。
スタッフはライブスタッフとの反省会や、地方イベンターとの交流。
たまーに、プロダクションスタッフとアーティストで貸別荘的なところに行って、料理したり飲んだり、それぞれ「青春の一曲」とか選んできて流したり、騒いだりしたこともあったけど、
一番近いはずの事務所スタッフとアーティストには何となく半透明くらいの壁があったように記憶している。
まあそんな中でもより近い関係になることもあるわね。
「お母さん」立ち位置が、それだわね。
我ながらその資質があると思えるワタシも、当時はまだ「 お姉さん」で、止まっていたかったんだろうね。若いわー。
だから、解散したアーティストや何十年ぶりに会うアーティストと自然に会話する機会があると、
なーんか、嬉しい。
でもその人たちとまた仕事として関わると、やっぱりそこにはクリアファイルくらいの壁が、、
当たり前やん!
そうだけどね。
でも、いま思うのは、それでいいさってこと。
どんなに熱い想いがあるか、これはこんな気持ちで企画したんだとか、
そんなことは、言わなくてもいい。
スタッフに出来るのは、最大限のサポートをして結果を出すこと。
その結果が、全て。
だけどアーティスト諸氏、
スタッフは単純です。
心からの「ありがとう」のひとことだけで、
また頑張れるからね!
昨年から続いていたプロジェクトの終わりに、
それが聞けて、すべての疲れが吹っ飛んだ。
いい夜だった。
そしていつも関わっているボーイズ達も、
事あるごとに感謝を伝えてくれている。
ぼかぁー幸せだなー。
「ありがとう」
その言葉は、発する本人が思うよりもずっと、
受け取った人を幸せにする力がある。
注)本文の回想部分は約25年前の記憶。
うわー人生何回りするんだろ!