リンパ節転移ありでも、手術を選んだ理由
(前立腺がん・私の場合)前立腺がんで、リンパ節転移(N1)が疑われる場合、一般的には「手術はしない」という判断になることが多い。私も当時、PSA58、グリソンスコア8、T3a、リンパ節の腫れあり。手術が難しいと言われてもおかしくない状態だった。それでも私は、最終的に手術を選んだ。その後、ホルモン療法・放射線治療・精巣摘出を組み合わせ、現在も PSA 0.009 を維持している。これは特別な奇跡だったのか。振り返ってみると、そうではないと思っている。なぜ、手術という選択肢が出たのか理由は大きく3つある。① 病院の経験値紹介された先が、ダ・ヴィンチ手術の症例数が多い病院だった。難しいケースも日常的に扱っており、判断も正確だった。② 執刀医の技術と視野担当した医師は 技術指導医かつ泌尿器科部長。手術の可否だけでなく、その後どんな治療が必要になるか まで見通せる医師だった。③ 病院の治療方針「まず腫瘍量をできるだけ減らし、必要に応じて治療を重ねていく」という考え方だった。この3つが揃って、初めて「手術」という選択肢が現実味を帯びてきたのだと思う。手術の目的は「完治」ではなかった誤解されがちだが、この段階での手術の目的は、「手術だけで治すこと」ではない。最大の目的は、 がんの量を一気に減らし、 その後の治療が効きやすい状態をつくること。予定4時間の手術は、実際には 7時間半 に及んだ。徹底したリンパ節郭清が必要だったからだ。そしてその後、ホルモン療法、放射線治療、精巣摘出へと治療を重ね、現在の状態へとつながっている。もし手術をしていなかったらこれはあくまで仮定の話だが、私自身の経過を振り返る限り、 手術をせずに今の数値を長期間維持できた可能性は、 正直あまり高くなかっただろうと感じている。もちろん、ホルモン療法だけで長く安定している人もいる。治療に絶対的な正解はない。だが私の場合は、最初に手術という選択肢があったからこそ、その後の治療を積み重ねていけるルート に入れた。これは確かな実感として残っている。今、同じように迷っている方へ前立腺がんの治療は、病院や医師によって提示される選択肢が驚くほど違うことがある。どの治療が正しい、どの医師が正解、という単純な話ではない。ただ一つ言えるのは、「この病院で、本当に選択肢は尽きているのか?」そこを問い直す価値は、大いにあるということだ。この記事は、私個人の経験にすぎない。だが、同じように治療方針で迷っている方が、考えるきっかけのひとつになればと思い、記録として残しておく。※この記事は、私の体験に基づいた記録であり、 医療者や病院の考え方を否定する意図はありません。 治療方針は患者さん一人ひとりで異なります。※補足病院によって治療方針がなぜ違うのか、病理結果をどう読み解いたのかなど、もう少し詳しい内容は NOTE にまとめています。ギリギリでも、手術を選んだ|zap——リンパ節転移あり前立腺がん、私の治療の話 ※この記事は、私個人の病状と治療経過を振り返った記録です。 病状や最適な治療は人によって大きく異なるため、すべての方に当てはまるものではありません。 前立腺がんの治療は、 どの病院に行くかで、まったく違う選択肢が提示されることがあります。 特に、 「リンパ節転移(N1)が疑われる場合に、手術をするか…note.com