前回は
5100円もする鰻重の松を昼と夜にダブルで食べても
片上6段は負けた、とご報告しましたが、
日本の文化においては常緑の松は特別な位置を占めてますね。
能舞台では神の依代(よりしろ)として
背景に必ず松が描かれている。
天女が羽衣をかけておいたのも松の枝です。
それくらい神や天と縁が深い松を食べてもダメなんだから、
鰻重の梅を注文した棋士たちが
枕を並べて討ち死にしたのも無理ありません。
鰻重はなぜ勝負に弱いのか。
この解読困難な問題を前にした私70rockが着目したもの。
それは肝吸いです。
肝吸いと鰻重は切っても切れない関係がある。
経営不利、いや形影不離の関係です。
これが1000円以下の鰻丼になると、
だいたいが蒲鉾と巻麸のお吸い物になる。
お吸い物の中で
DNAでもないのに小さい螺旋を作っている麸を見て、
オマエが鰻肝だったらなぁ、
と人知れず涙に暮れた方は少なくないはずです。
鰻重はハンケチで口を拭き、
鰻丼はハンケチで涙を拭く。
私が作った有名な対句です。[まだまだ続く]