鰻重は和食のヒエラルキーの中でも頂点に位する料理のひとつですね。
好きな和食はなんですか?
と聞かれたときに、
ウナギ、お寿司と答える日本人は多いはずです。
棋士の食事を注意深くウォッチする将棋ファンの間でも
ウナギは人気がある(自分が食べるわけじゃないのに)。
棋士の昼食や夜食に鰻重の注文が出たことが知れ渡ると
2チャンネル掲示板の『昼食・夕食・おやつ総合スレッド』が色めき立つ。
まるで鰻重が自分の口に入るかのような盛り上がり方です。
梅でさえも大いに盛り上がるんですから、
たまに鰻重の松の注文が出たりすると
羨ましさ半分、やっかみ半分、
悲喜こもごも(鰻重と聞いてハリキッタものの、よく考えると自分が食べるわけじゃありませんからね)のコメントが乱れ飛ぶ。
『松と梅はどう違うんだ? 写真を見せろ』
『松は3000円以上すると聞いたけどホントなのか? 俺の1週間分の昼食代じゃないか』
なんてコメントが2チャンネラーから続出する。
思えば鰻重なんて、
私なんかが子供の頃は
お墓参りの後くらいしか食べられなかった。
その点、棋士はいいですね。
ひとりで鰻重を食べても奥さんから叱られることはない。
なにしろ対局は棋士の戦場なんですから。
とにかくウナギは栄養価満点。
巷間では『ウナギ即』と言われるくらい即効性のスタミナ源として定評がある。
戦の前にお腹に入れておく食べものとして
ウナギより良いものがあるだろうか?
と私などは思うんですが、
なぜか鰻重を食べた棋士はコロコロと負けてしまう。
これは何故か?どうしてだろう?なんでだろう?
この謎を前にして私は深い深い物思いにふけってしまう。[まだ続く]