対荒木戦の解説終了後のインタビュー 続続編
鈴木環那「奨励会の在籍はすごく短い。6年間?」
佐々木勇気「はい。小学校4年生の時に入って」
鈴木「あっという間だったと思うんですが奨励会で苦労したことなんかありますか、苦しんだこととか?」
佐々木「5級の時に香落ちにすごく苦労したんです。初めてやる戦型というか。居飛車党だった自分が振り飛車の感覚に馴れるのが大変で」
鈴木「でもそこからは順調にという感じですかね」
佐々木「そうですね」
西尾明5段「僕が印象に残ってるのは佐々木君が1級時代に18連勝して、その連勝が止まった時にはじっこのほうで悔し涙を流してたのがすごい印象に残ってます。18連勝して負けたあとに涙を流せるなんてなかなかいない。すごいコだと思いましたね」
鈴木「では最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします」
佐々木「はい、佐々木勇気です。これからも一生懸命にがんばりますので応援よろしくお願いします」
鈴木「これからの活躍期待しております。どうもありがとうございました」
佐々木勇気4段は16才、高校1年生。初々しさとたどたどしさが混在した喋り方をする。将棋の修行に言葉はいらない。寡黙に、余計なことはせず、言わず、一筋に将棋に打ち込んできた。そんな背景が想像される口調だ。
顔で特徴的なのは、涼しい目、しっかりした眉毛、少年っぽい紅い唇、強く張った四角いエラだ。黒い瞳が勝った目と張ったエラは意志の強さを物語っている。時おり作る笑顔にどこか謎めいた感じがある。溢れそうな自負を覆い隠す含羞というのか。
佐々木君の細い体から私70rockは“鶏群の一鶴”という言葉を連想した。おそらく5年後には将棋界は佐々木勇気君を中心に回り始めるだろう。期待しています。(完)