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2007年7月23日

検察側、証人喚問の終了を宣言

この日、検察側はこれ以上の証人は出さない、これ以上の審理は検察側からは求めないと宣言。今年4月から3カ月にわたった証人喚問の終了を宣言した。検察側の証人に立ったのは合計35人にのぼった。

検察側の最後の証人はロサンゼルス郡保安官事務所のリチャード・トムリン捜査官だった。

スペクターの弁護団チームは事件の翌日、現場で小さな白いギザギザの破片を採取したと言われている。

保安官事務所は問題の証拠物件を手渡すように弁護団チームに何度も要求したが返事はなく、これからも返還されそうにない、とトムリン捜査官は証言した。スペクターの弁護団は問題の白い破片のことは知らないと一貫して主張している。

反対尋問に立ったクリストファー弁護士は、事件場現場から被害者ラナ・クラークソンの爪の破片が採取され、弁護団チームによって持ち去られたという検察側の主張は陪審員をミスリードするものだと主張。事件発生から36時間にわたり、現場は警察の厳しい管理のもとに置かれていたと指摘した。

弁護側が審理の終了を求める

数カ月にわたる公判。“科学的”と称する沢山の証人を法廷に送り出したすえに、スペクターの弁護団は今週、もはやマイナーな証人しか残っていないのでこれ以上の証人喚問はしない、審理の終了を求めると発表した。

今週の水曜日に数人の証人を出したらそれで証人の喚問を終わらせる。来週は事件現場のアルハンブラのスペクター邸に陪審員を招き、弁護側の主張の正しさを知ってもらう。これが弁護チームの正式発表だ。

この弁護側の突然の声明に、検察側は困惑の表情を見せている。予定では今週も弁護側の証人が目白押しで、検察側はこれに対する反論の証人を用意していたからだ。

検察側が弁護チームの法医学の権威、リー博士の再度の証人喚問を執拗に求めていたが、弁護側はこれを拒否。リー博士は中国にいるので出廷できない。前回の証人喚問のときの公式記録を提出することで出廷に替えたいと申し出た。

フィドラー判事は弁護側は“誠実義務”を尽くしていないと苦言を呈したが、どうやらリー博士は公判に現われそうにない。


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ブルース・カトラー弁護士



2007年8月27日月曜日
スペクター被告の主弁護人、公判を下りる

これまで公判を何度かすっぼかしてきたブルース・カトラー弁護士が今日、フィル・スペクター被告の弁護人を辞めると発表した。裁判に関する戦略で被告と意見が一致しなかったからだという。

この日は奇しくも証人尋問の最終日だった。彼が自分から辞任したのか 、スペクター被告が解雇したのか、現時点では明らかではない。

カトラー弁護士はこれまでも再三に渡って公判を欠席。その間にテレビ番組に顔を出してきた。不快感を隠さないフィドラー判事に対しては、 公判に戻って最終陳述は自分が行なうと説明してきたが、どうやらその約束も反故になりそうだ。

「フィル・スペクター氏のために自分がやれることは何もない。もはや被告の代理人は務められそうにない」カトラー弁護士は声明を出した。

この日、カトラー弁護士の声明どおりなのか?とフィドラー判事に尋ね られたスペクター被告は、「間違いありません」と苛立ちを隠せない声で答えた。主弁護人の役目は一時的にロジャー・ローセン弁護士が引き継いだ。



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法廷のフィル・スペクター被告


2007年8月29日水曜日

今年4月7日に始まったスペクター事件の証人尋問は一昨日の8月27日に終了。この間、検察側と弁護側を併せて77人の証人が出廷した。

最終陳述は来週の9月5~6日。陪審員が有罪・無罪の評決を出すための評議は早ければ9月7日にも始まると予想される。

公判ではスペクター被告は一貫して無罪を主張。ラナ・クラークソンの死は自殺だという主張を繰り返した。

今日の公判でフィドラー判事はこう語った。「熟慮の結果、陪審員にはスペクター被告が第2級殺人について有罪か無罪かを評議し、評決を出すように説示することにした。異存はないか」

これに対して検察側は即座に同意。新しく主弁護人になったリオーダン弁護士もこれに同意した。

事件から4年以上を経て、スペクター被告に判決が下される日も近い。