(35)
凶器の銃が公開される
昨日の公判では、ロサンゼルス郡保安官事務所のマーク・リリエンフェルド捜査官が、ラナ・クラークソンの遺体の足元に転がっていたコルト・コブラを陪審員に見せた。溝の部分の血は拭き取られていたが銃身を切り詰められた凶器にはまだ乾いた血が付いていた。
このコルト・コブラは未登録で、スペクターの持ち物かは特定できなかった。弁護団はこの銃はラナ・クラークソンのものだと主張している。
しかしリリエンフェルト捜査官は、遺体のそばにあった引き出しのひとつが開いていたこと、中にあったホルスターが銃にぴったり合ったことを証言した。
スペクターの屋敷からは弾丸がこめられた短銃や12口径のショットガン(弾丸はこめられていなかった)も見つかったこと。弾薬もすべて凶器のそれと同タイプだったことが明らかにされた。
さらに、遺体のとなりの椅子にはスペクターのブリーフケースが置かれていて、中からは興味深いものが見つかった。ブリーフケースの中には、薬局で買える通常の薬のほかにバイアグラの錠剤が1錠。2錠分が空っぽで錫箔だけが残されていた。
検察側が召還した4人の女性はスペクターに銃で脅されたことがあると揃って証言した。状況も判で押したように同じで、女性たちがスペクターの意志に逆らって去ろうとしたときに銃で脅されている。
パット・ディクソン検事は証人尋問で、ラナ・クラークソンの右肩には財布の入ったハンドバッグがかかっていたという証言をリリエンフェルトから引き出した。
もし彼女が銃で自殺したのなら、なぜ邪魔になるハンドバッグを右肩にかけていたのか。彼女が肩にハンドバッグをかけていたのは被告の屋敷から去ろうとしていたからではないのか。これが検察側の主張だ。
弁護側は反対尋問で、検察側が提示した証拠の品々は多くの人の手が触れていて信頼できないと主張。現場で証拠集めしている捜査官たちの写真を陪審員に見せ、彼らが手袋を付けていなかったことを指摘した。
その点を反対尋問で突かれたリリエンフェルト捜査官は、手袋をしていなかったのはその必要がなかったからだ。自分たちは証拠の品には手を触れていないと答えた。
(36)
2007年6月12日
ラナ・クラークソンの胸に残っていたDNAはスペクターのものと一致した。
事件現場に残された証拠のDNA分析を担当したスティーブ・レンテリアは、ラナ・クラークソンの左胸から検出されたDNAが被告スペクターのそれと一致したと証言した。
だが彼は弁護側の反対尋問で、凶器の銃、弾装に残っていた弾丸、そしてクラークソンの割れた爪の破片からはスペクターのDNAは検出されなかったことを認めた。
「クラークソンの右親指の爪の破片から依頼人のDNAは見つからなかったんですね?」クリストファー弁護士の問いに、「ええ、見つかりませんでした」とレンテリアは答えた。
銃からスペクターのDNAが検出されなかったということになると、お抱え運転手ソーサの証言に疑問符がつく。事件の朝、銃声がしたあと血まみれの銃を持って屋敷から出てきたスペクターは、「俺は誰か殺したようだ」と言ったとソーサは証言している。
銃はラナ・クラークソンの足元の床に転がっていた。
事件現場から採取されたクラークソンの爪の破片からもスペクターのDNAは検出されなかったという。これは銃が発射された時に被告とラナ・クーラクソンが争ったという検察側の主張と矛盾する。むしろ、銃はラナ・クラークソンが自分で撃ったという弁護側の主張を裏付けているようにみえる。
だが、クラークソンの胸からスペクターのDNAが検出されたという事実は、なにか性的な匂いを感じさせる。椅子にくずおれていたクラークソンはミニ のスリップドレス姿だった。
銃を突きつけてセックスを強要するスペクターの性癖が事件の引き金に なった。スペクターの愛人だった4人の女性を証人として立てた検察側は そう主張する。
他方、凶器の銃や弾丸からスペクターのDNAが検出されなかったという事実は、ラナ・クラークソンは自殺したのだという弁護側の主張を補強している。
DNA分析を担当したレンテリアは、現場から採集したDNAは汚染されてい る可能性があり、また極めて微量だったので信頼性もやや低いと証言し た。
「遺体の胸から検出されたDNAは間違いなく依頼人のものですか?」クリ ストファー弁護士の問いに、「そう言えると思いますが絶対ではありま せん」とレンテリア。
「では銃から検出されたDNAは誰のものでしたか?」重ねての弁護 士の問いに、「ラナ・クーラクソンのDNAしか検出されませんでした。これは絶対と言えます」レンテリアはそう証言した。
凶器の銃が公開される
昨日の公判では、ロサンゼルス郡保安官事務所のマーク・リリエンフェルド捜査官が、ラナ・クラークソンの遺体の足元に転がっていたコルト・コブラを陪審員に見せた。溝の部分の血は拭き取られていたが銃身を切り詰められた凶器にはまだ乾いた血が付いていた。
このコルト・コブラは未登録で、スペクターの持ち物かは特定できなかった。弁護団はこの銃はラナ・クラークソンのものだと主張している。
しかしリリエンフェルト捜査官は、遺体のそばにあった引き出しのひとつが開いていたこと、中にあったホルスターが銃にぴったり合ったことを証言した。
スペクターの屋敷からは弾丸がこめられた短銃や12口径のショットガン(弾丸はこめられていなかった)も見つかったこと。弾薬もすべて凶器のそれと同タイプだったことが明らかにされた。
さらに、遺体のとなりの椅子にはスペクターのブリーフケースが置かれていて、中からは興味深いものが見つかった。ブリーフケースの中には、薬局で買える通常の薬のほかにバイアグラの錠剤が1錠。2錠分が空っぽで錫箔だけが残されていた。
検察側が召還した4人の女性はスペクターに銃で脅されたことがあると揃って証言した。状況も判で押したように同じで、女性たちがスペクターの意志に逆らって去ろうとしたときに銃で脅されている。
パット・ディクソン検事は証人尋問で、ラナ・クラークソンの右肩には財布の入ったハンドバッグがかかっていたという証言をリリエンフェルトから引き出した。
もし彼女が銃で自殺したのなら、なぜ邪魔になるハンドバッグを右肩にかけていたのか。彼女が肩にハンドバッグをかけていたのは被告の屋敷から去ろうとしていたからではないのか。これが検察側の主張だ。
弁護側は反対尋問で、検察側が提示した証拠の品々は多くの人の手が触れていて信頼できないと主張。現場で証拠集めしている捜査官たちの写真を陪審員に見せ、彼らが手袋を付けていなかったことを指摘した。
その点を反対尋問で突かれたリリエンフェルト捜査官は、手袋をしていなかったのはその必要がなかったからだ。自分たちは証拠の品には手を触れていないと答えた。
(36)
2007年6月12日
ラナ・クラークソンの胸に残っていたDNAはスペクターのものと一致した。
事件現場に残された証拠のDNA分析を担当したスティーブ・レンテリアは、ラナ・クラークソンの左胸から検出されたDNAが被告スペクターのそれと一致したと証言した。
だが彼は弁護側の反対尋問で、凶器の銃、弾装に残っていた弾丸、そしてクラークソンの割れた爪の破片からはスペクターのDNAは検出されなかったことを認めた。
「クラークソンの右親指の爪の破片から依頼人のDNAは見つからなかったんですね?」クリストファー弁護士の問いに、「ええ、見つかりませんでした」とレンテリアは答えた。
銃からスペクターのDNAが検出されなかったということになると、お抱え運転手ソーサの証言に疑問符がつく。事件の朝、銃声がしたあと血まみれの銃を持って屋敷から出てきたスペクターは、「俺は誰か殺したようだ」と言ったとソーサは証言している。
銃はラナ・クラークソンの足元の床に転がっていた。
事件現場から採取されたクラークソンの爪の破片からもスペクターのDNAは検出されなかったという。これは銃が発射された時に被告とラナ・クーラクソンが争ったという検察側の主張と矛盾する。むしろ、銃はラナ・クラークソンが自分で撃ったという弁護側の主張を裏付けているようにみえる。
だが、クラークソンの胸からスペクターのDNAが検出されたという事実は、なにか性的な匂いを感じさせる。椅子にくずおれていたクラークソンはミニ のスリップドレス姿だった。
銃を突きつけてセックスを強要するスペクターの性癖が事件の引き金に なった。スペクターの愛人だった4人の女性を証人として立てた検察側は そう主張する。
他方、凶器の銃や弾丸からスペクターのDNAが検出されなかったという事実は、ラナ・クラークソンは自殺したのだという弁護側の主張を補強している。
DNA分析を担当したレンテリアは、現場から採集したDNAは汚染されてい る可能性があり、また極めて微量だったので信頼性もやや低いと証言し た。
「遺体の胸から検出されたDNAは間違いなく依頼人のものですか?」クリ ストファー弁護士の問いに、「そう言えると思いますが絶対ではありま せん」とレンテリア。
「では銃から検出されたDNAは誰のものでしたか?」重ねての弁護 士の問いに、「ラナ・クーラクソンのDNAしか検出されませんでした。これは絶対と言えます」レンテリアはそう証言した。