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2003年6月4日 事件から4カ月後。

スペクター、衝撃の告白
『女優ラナ・クラークソンは自殺する前に銃に口づけした』

エスクワイア誌の7月号でスペクターは自分は無実だと語る

記事:コリー・モス
今年2月、ラナ・クラークソン殺害事件との関連で逮捕されて以来、フィル・スペクターは初めてインタビューに応じ、自分は無実であり、ラナ・クラークソンの死は自殺だと語った。

『エスクワイア誌』に彼が語ったところでは、
クラークソンは“引き金をひく前に”銃に口づけしたという。




「何故そんなことをしたのか分からない」と彼。「彼女とは知り合いでもなんでもない。あの晩に初めて会った。彼女がどんな人間か、どんな問題を抱えていたのか、まったく知らなかった」

このインタビューでスペクターがとりとめなく語ったところを纏めると、次のようになる。




まず、クラークソンがどこで銃を手に入れたのかは知らない。そして事件の後に警察に電話をしたのはスペクター自身だという。




事件があった2月3日の夜、ラナ・クラークソンはひどく酔っぱらっていて騒がしく、サンセット大通りにあるハウス・オブ・ブルース からテキーラのボトルを1本持って出たという。

「彼女は家まで乗せてってと俺に頼んだ。そのうち俺の屋敷を見たいと言い出し たんだ」彼はエスクワイア誌に語った。




俺は酔ってなかった。全然ね。事件な んて起こらなかった・・・・彼女は自殺したんだ。俺がやったなんてでっちあげ さ。俺は何も悪いことなんてしていない・・・もししていたら俺は今ごろ監獄に いるはずだろ」

彼は無実だと言うが、警察はまだ事件は捜査中で、証拠を集めるのに数カ月はか かりそうだと発表している。

スペクターの話は警察のそれと食い違いを見せる。
警察はすでに事件から1カ月後の3月、クラークソンの自殺の可能性を否定している。


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ラナ・クラークソン

映画『バーバーリアン・クイーン』のスチール



フィル・スペクターの精神状態については以前から色々と言われているが、彼は事件後、あるジャーナリストにこう語った。「逮捕前の数週間、俺は少しオカシクなっていた」と。

エスクワイア誌とのインタビューでは、彼は弁護人のロバート・シャピロも痛烈に非難している。



O.J.シンプソンの弁護人も務めたシャピロは彼に100万ドル以上の弁護料を請求したというのだ

「ロバート・シャピロが俺の弁護を買って出て留置所から救い出してくれたときは、あれは友情や好意からだと思っていた」と彼。



7桁の金のためじゃなくね 。俺が今まで彼にやった贈り物は30万ドルの値打ちはある。それに車や飛行機で 色んなところに連れていってやった。俺は依頼人なんかじゃない。ヤツの最高の親友だったんだぜ」

スペクターはもうひとりの友人、離婚専門弁護士のマービン・ミッチェルソンに対しても怒りをぶちまける。「事件について記者たちに勝手にベラベラしゃべりやがって」と。




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ラナ・クラークソン
映画『バーバリアン・クイーン』




フィル・スペクターは事件の関係者の忍耐力の限度を試そうとしているのだろうか 。

ラナ・クラークソンは銃弾がこめられた銃を口にくわえ、自分で自分を撃った。 スペクターはエスクワイア誌でそう主張している。銃を振り回す悪癖があったの は自分であり、彼女ではないことをスペクターは忘れているようだ。

弁護団からのアドバイスを受けて、スペクターはラナ・クラークソンを貶めるこ となら何でもやろうとしているようにみえる。

セレブの味方、バニティ・フェア誌の最近の記事を見てもそれが分かる。ここではラナ・クラークソンは1晩1000ドルの高級売春婦だったと書き立てられているのだ。

納まらないのはクラークソンの家族と弁護士だ。消息筋によれば、彼らはクラー クソンの周囲にいた人たちに片っ端から当たり、バニティ・フェアの記事が真実 かどうか調べて回ったという。

どうやらクラークソンが高級売春婦だったという話はまったくの嘘八百らしい。 「私たちは考えられるかぎりの人に会って聞いてみたわ。でも皆がそんなことは 嘘っぱちだって」と彼女の友人は言う。

もちろんクラークソンの遺族はかんかんに怒っており、弁護士はバニティ・フェ ア誌に抗議の手紙を送った。