今日はちょっと変わった(?)本を読んだので
紹介します。
ショーン・タンの「アライバル」という絵本。
絵本といっても、文字が一切ない、絵のみで物語が
進んでいく、まるで無声映画のような世界です。
コマの役割(細かく割られたと思ったら見開きでどーん
みたいな演出など)という意味では、
漫画にも通じるものがあるかもしれません。
ショーン・タンさんは、
オーストラリア出身の作家さんなんですね。
しかも思ってたより若い方で(’74年生)。
「アライバル」の絵は鉛筆デッサンのような
緻密な絵でかなり写実的に描かれていて
見ていて気が遠くなるほどで、
けっこう大型の本で値段もそこそこするんですが、
映画1本観たような重厚感があって、
ちょっと今までにない読書体験かもと
思いました。
セピア色の鉛筆画の世界に時折、
へんてこな生き物が登場するのもいいですね。
”懐か新しい”感じで好きです。
あと風船の付いた飛行する小部屋に乗って
男が未知の街へ辿り着き、恐る恐る小部屋から
出るのですが、ドアをちゃんと閉めるカットまで
細かく描かれていたりして、そういうあたりは
漫画というよりは映画的な演出なのが
面白いですね。
あらすじ等は割愛しますのでこちら で
どうぞ。
ところで、読みながら、とても新鮮な感触と共に
はげしい既視感に襲われたのですが、それは
僕の最も好きな漫画家の諸星大二郎先生なんですよね。
諸星は、ホラー・SF・伝記・ナンセンスとかなり
幅広い作家ではありますが、
(「もののけ姫」や「エヴァ」も諸星の影響が大きいと
言及されるくらい、実際は巨匠と呼ばれても
いいくらいの人なんですが)
まあどちらかというと、知る人ぞ知る作家かも
知れませんが、、、。
で諸星の、例えば「夢の木の下で」という作品の中に、
ある男が、知らない星に辿り着いて放浪して
(物語の案内役となり)、その星の不思議な出来事が
淡々と描かれる話があるんですよね。
その中で、巨人というか、人ではないんですが、
街を大きなものが歩いているイメージだとか、
↓これは別の作品ですが、エヴァの着想の元となった
ともいわれる「影の街」という作品の中の巨人です。
あと「栞と紙魚子」という作品で、「アライバル」ではトカゲ?ぽい
感じでしたが、魚が街を泳ぐ話があって、おまけに飛行する船
なんかも出てきます。
「アライバル」をすでに読んだ方なら
分かって頂けると思うのですが、
他にもへんてこな生き物が多く登場するとか、
(まだまだ探せばありそうですが)けっこう
共通点が多いんですよ。
まあ諸星の場合、「異界とこちら側の世界」という
通低するテーマがあるので、そういう
イメージが多く使われがちというのはあるにしても、
まったく違う国の作家さんから出てきた
イメージが、ここまで近いというのはちょっと
面白かったですねー。
すでに他の作品も読みたくなってますwではまたー^^