『違うのよ。意地悪で言ってるんじゃないの。本当に見せれないの、正確に言うと見せる事が出来ない。だってほら』


そう言われ画面を覗き込む。

画面にあったのは西郷寺からのメールを受けてのさっちゃんの返信メールでは無い


西郷寺、
『なんで無視するの?俺の事なんてどうでもいいの?』


またもや西郷寺がさっちゃんにあてたメールだった。

時間を見ると6時3分。

1通目から1分しか経っていない。

無視?なんでそんな言い方を、、今メールを送ったばかりじゃないか、、

僕が理解に苦しんでいると


『多分これ以降も、、』


そう言って西田さんは履歴をたどっていく


西郷寺
『無視しないで欲しい。寂しくてたまらないんだ』
『無視されるなんて…もしかして嫌いになった?』
『はなから俺の事からかってたのかな?でも無視は酷いよ』
『孤独の怖さを知っているんじゃないの?そんな人間が無視なんてしないで…』


その後も何通も何通も内容の無い

ただ【無視】というキーワードのみを強調したメールが続く。

それも全て1分間隔で送りつけている

さっちゃんからの返信がないままに。


『なんなんですか、これ?』


我慢しきれず、しかし何とか声を荒げる事だけはせずに西田さんに聞いた。決して冷静では無かったが。

西田さんは『まだ続くよ』とその先の履歴を確認していく。

そう言って見せられたその後の西郷寺のメールは、もはや僕が作り上げたキャラ設定など度外視した内容だった。


西郷寺
『いい加減にしろ!返事してこい!』
『おい!ふざけんなよ!すぐにメール返して来い!』
『無視すんな!無視すんな!無視すんな!無視すんな!無視すんな!無視すんな!無視すんな!無視すんな!』
『俺をこんなにほったらかしやがって!覚えとけよ!』


ちょっとしたサイコ野郎だ。

こんなのは僕が作った西郷寺ではない。

朝起きてこんなメールをさっちゃんが見たら、、

その時のことを思うと胸が締め付けられる

しかし現実にもう見た後なのだ。

急がないと、さらに悪い方向に行く可能性もある。

急がないと。


『無茶苦茶じゃないですか。僕が残した引継ぎも何も関係ない。これのどこが出来る人間なんですか。酷い、酷い内容ですよこれは。』


『そうね。確かに無茶苦茶に見えるかもしれないけど、でもね、この後、西郷寺は受信を160件もするでしょ。どんなやり方だろうとここではそれが一番大事なんだよ。それが一番健全で正常なの』


それを言われると返す言葉は無い。


『あら、黙っちゃった。せっかく盛り上がってきたのに。ほら見てみて、ようやくさっちゃんが起きてきたわよ。』


うつむき加減だった僕はその言葉に瞬時に反応する。

さっちゃんが起きた。そしてメールを読んだ。さっちゃんは大丈夫なのか?身を乗り出し画面を覗き込む。

西郷寺の出鱈目な20数件にも及ぶサイコメールを受けてのさっちゃんの返信メール。

6時38分。


さっちゃん
『どうしたの?今起きてメールを確認したらすごい数のメールが来てたよ?何かあった?なんかいつもの西郷寺君と違うような感じだったよ?何があったの?』


さっちゃんは現状に驚き、理解も出来ず、疑いすら持っている。

当然だ。

今までの西郷寺とまるっきり違うのだから。

これは正常な反応。

じゃあ何故この後さっちゃんは160件ものメールを送ってしまうのだろう?

何故?

想像が現実に追いつかない。


『ここからきちんと見ておいてね。いよいよ真相に迫るわよ。』


西田さんに言われるまでも無く僕は画面をじっと睨みつけた。