「ハスラー」 1961年 アメリカ
監督 ロバート・ロッセン
出演 ポール・ニューマン ジャッキー・グリーソン
パイパー・ローリー ジョージ・C・スコット
マーレイ・ハミルトン マイロン・マコーミック
ストーリー
15歳でハスラーとして身を立てることを思い立ったエディは、次第に腕を磨きやがてシカゴで名うてのハスラー、ミネソタのデブに挑戦した。
勝負は36時間にわたるポケット式玉突きで行われ、勝負の前半はほとんどエディが奪った。
だが図に乗って酒を飲みながら勝負を続けたエディは24時間後あたりから逆転され、ついに場数を踏む老巧なデブに敗れ文無しになってしまった。
エディはやけ酒にふけったが、そんなある日、明け方のバス・ステーションで、エディは作家志望の女子大生に会った。
彼女はサラといい小児麻痺を患ったため足が不自由だった。
エディは酒飲みのサラと親しくなり、彼女のアパートで暮らすようになった。
そんな生活を続けるうちにエディは金に詰まり、再び稼ぎに出ることにした。
ある日、彼はサウス・サイドの小さな撞球場でバートという賭博師に会った。
バートは、エディにケンタッキー州のフィンレーという金持ちに挑戦するようすすめた。
彼は75パーセントの分け前を条件にマネジャーを引き受けるという。
エディは断ったが、それから間もなくある撞球場で小金を稼いだエディは、ハスラーであると因縁をつけられ袋だたきにされた。
その上、両手の親指を折られていよいよ文無しになったエディは、バートに泣きつきフィンレーと勝負できるように頼んだ。
エディは前半負け続け、ついにエディに見切をつけたバートに泣いて助けを乞うのだった。
こんなエディのあさましい姿を見たサラは、自分たち2人に絶望せざるを得なかった。
結局、エディは勝負に勝ったが、その夜、サラは絶望の末、言いよるバートに身をまかせて自殺してしまった。
一方、バートと手を切ったエディは、デブに2度目の挑戦をした。
寸評
全編を通じて5つのゲームが描かれているが、それぞれのゲームに違った意味合いを持たせて物語が進んでいくという組み立てが上手い。
冒頭ではチャーリーと組んで行うハスラーの手口を見せる。
最初はわざと負け、勝ってもぎりぎりで、相手をおだて上げたりして掛け金を釣り上げたところで全部頂くというプロのギャンブラーによる素人相手の手口だ。
次に続くのが最強の相手であるミネソタ・ファッツへの挑戦で、予想通りここでは負けるのだが、その負け方の描写が中々味わいのあるものとなっている。
賭博師のバートからは「ファッツをあと一押しで落とせたのに果たせなかった。お前は自ら敗北を選んだ。くたびれ果てて、栄光と酒に酔って」と言われる始末だ。
3度目は忠告を無視して行った愚かなハスラー稼業で、痛い目に合う場面となっている。
それに続く4度目は資金を稼ぐために行うゲームで、唯一四つ玉による勝負だ。
それをビリヤードと言っていて、ボールを落としていくのをプールと呼んでいるのが僕にとっては発見だった。
そして最後がミネソタ・ファッツへの再戦場面である。
それぞれで起きる出来事が違っていてハスラーの世界、エディの人物描写が端的に描かれている印象だ。
発せられる言葉はそれぞれ含蓄のあるものがあって唸らされる。
バートはエディに「世の中には負ける口実を探している奴が多い。勝つことは大変な重荷だから、人は口実を作って重荷をおろそうとする。そして悔恨の念に浸るのを楽しむのだ」となじる。
一方でエディはサラにゲームに挑んだ時の高揚感と調子が出だした時の没我の魅力を語る。
サラはその時のエディの生き生きした姿に心を打たれたのだと思う。
最後になってエディは「俺はサラを愛していた」と言うが、その愛はいびつな愛だ。
プールを去っていくエディの姿が忘れられない。
主演のポール・ニューマンはもとより、それを固める脇役陣が素晴らしい。
ミネソタ・ファッツをやったジャッキー・グリーソンは、その体格といい風貌と言い貫禄十分でオーソン・ウェルズを髣髴させるし、またバート役のジョージ・C・スコットは、冷徹な観察眼を持ちながら金への執着を見せる嫌な男を魅力的に演じて悪役を一手に引き受けている。
サラのパイパー・ローリーはアル中気味な落ちぶれた女でありながら、一方で女子大生でもある何とも宙に浮いたような存在を見事に醸し出している。
彼女が小児麻痺を患っていて、父親とも確執があるという設定は、全体として陰鬱なこの映画のムードをさらに高める役割を担っていて、彼女の存在はこの映画に光明をもたらすかのようでもあるのだが、アル中気味という状況と彼女の結末はそれをもたらさない。
最後にバートが要求する取り分は、最初の75%から25%に逆転提示となって、エディとバートの立場も逆転していることを示していたのだが、サラを亡くした虚脱感で勝者の雰囲気はない。
ラストシーンもあくまでもその侘しさが漂うばかりで、登場人物全ての人生の挫折と苦渋を描いた重い映画だ。
ビリヤードのシーンは、玉だけが映る場面はプロがやっているのだろうけれど、二人の対決シーンではポール・ニューマンもジャッキー・グリーソンも上手いんだなあと感心させられ迫力あるものになっている。









