きょうの今治の、外来診療での出来事。
突然診察室のドアが開いて、患者さんが入ってきた。見ると、1-2ヶ月に一度、膝に注射している、漁師の越智さん(仮名)。今治には山ほど越智さんがいる(笑)。
手には大きなビニール袋。
「先生、これ、食べてや」と。
あー、魚持ってきたな、と袋を覗くと、まさに今絞めたばかりの鯛がたくさん入ってる。今朝暗いうちに漁に出かけ、来島海峡で鯛を取って、朝一番で市場におろし、その一部を持ってきたことは容易に察しがついた。
「きれいな鯛ですね。ありがとう」と、鯛の入った袋をいただいた。
その鯛はおろして、今晩の夕食のカルパッチョに。
いろいろ意見はあると思うけど、僕は患者さんがどうぞ、と言うものは、断らないでいただくことにしている。人にものを渡したいと思ったらわかると思うが、その人の喜ぶ顔が見たいから。みんな、よく考えて準備をする。
「患者さんからものをもらうなんて、医師としてのモラルがない」と言う人もいるけど、見返りを求めていると言うよりも、感謝の気持ちなんだろうと思ってる。だから、受け取らないで突っ返すってことは考えられない。
越智さんも、「いつも先生ありがとう。少し釣れたんで、食べてや」くらいの気持ちなんだと思う。だから、喜んで、何の躊躇もなくいただいた。
何年か前に、自分の父親が手術した時に、病棟の看護スタッフにお菓子を持って行ったら、かなり頑強に拒まれた。生ケーキを20個自宅に持って帰るわけにはいかないので、無理やり手渡して、逃げるように帰ったが、あれは体裁が悪かった。感謝の気持ちを言葉だけでなく伝えたかっただけなのに、と思ったりした。
手術をしていて思うが、ものをいただいたからといって、患者さんへの態度が違うなんてことは、まったくない。すべての患者さんに、自分の持っているものすべてを注ぎ込んでいるから。でも、言葉以外の方法で感謝されたら、それはそれで受け容れてあげたいと思ってる。
患者さんからのいただきものについて、批判を承知で書いてみた。
では、また。
