ottoはサウナーである。

もう10年ぐらい前から

頻繁にサウナを楽しんでいる。

もともと汗かきなので

ものすごく気持ちいいらしい。

水風呂も大好きだ。

最近は「ととのう」のが流行だとか。

そのせいかお気に入りのサウナが

いつ行っても激混みなのが不満らしい。


私は汗が出なくて内にこもるので

顔が真っ赤になってのぼせてしまうので

サウナはあまり好きではない。

いつも我慢できないし

かえって疲れるので

妊娠出産を機に、

サウナに入るのはやめてしまった。





今日、ふと、

自分が何だか疲れ果てていることに気づいた。

眠くて仕方ないし

でも朝は目が覚めてしまうし

手足は冷えてうすら寒いし。


そうだ!サウナに行こう!

思い立って

雨の中、車を走らせて

よく行く京都の温泉へ向かった。


そこはすぐ裏手が山になっていて

外風呂が山の中にいるみたいで

気に入っている。



今日はさっと温泉で体を温めて

短めのサウナに入った。

嫌いな水風呂にもちゃんと入り

外気浴もしてみた。


目を瞑って

森の前にあるベンチで横になっていると

ある時、

ふっと音がよく聴こえるようになった。

感覚が研ぎ澄まされたようで

小さな自然の音が耳に入ってきた。


雨の音。

水が滴る音…!?

パッと目を開けると

真っ白な花が目に飛び込んで来た。

さっきもあったはずなのに

サウナで茹でだこになってたからか

全く気づかなかった。

いや、見えていたはずだけど

見えていなかった。


肉厚で大きな花弁。

葉もない枯れ枝のような木に

取ってつけたように花だけが

咲きみだれていた。

いや咲き乱れるじゃない。

そっと突き刺さってある感じ。


曇り空でどんよりグレーがかった世界で

周囲は全部焦茶の枯れ木か濃い緑の針葉樹、

でもその花の周りだけが

崇高な感じに光っていた。


まるで二幕のオニュの

胸のコサージュみたいだった。




いや

オニュそのものみたいだった。



(cr 画像内)




私はタオル一枚でごろ寝という

まあまあのおっさん加減でその花を見た。




綺麗だった。

とても、とても。



その花はハクモクレンというらしい。

多分、恐らく。


それから、そして、もしかしたら

私はついに初めて

「ととのう」を体験したのかもしれない。



帰り道は眠くて眠くて

結局、疲れがとれたのかもわからない。

ただ言えることは

オニュが

あの日よりも

そしてまさかの出会った頃よりも

濃密に私に影響を及ぼしているということ。


まずいな。

想像しただけで焦る。

焦燥感がある。


困った。

私、やっぱりオニュが好きかもしれない。

ものすごく。

平気なふりしているけど。

だからってどうするって訳でもないけど。



また性懲りも無く

こじらせてしまいそう。

オニュが幸せだと困るくらい。