「行かないと殺す!」


私はそう言われて、恐怖におののいた。


「私にはまだ行けません」


そう答えたが、そいつは許してくれそうにない。


「なぜ、行けないのだ?」そいつは聞いた。


私は、答えた。


「だって、雨降ってるし、一人で別に・・・


デジカメでもあれば、体裁もつくられるけど。


金になる物全部売ったもん。


いや、いつか行きたいとは思ってるんやで、


でも今はなんかなあ、乗り気というか何というか


そういう時って あるやん?」


私は、鎌をもって殺そうとしている男に向かって、


そう答えた。


そいつは、


「お前にはまだ見えてないな。では、殺すしかないな」


そう言った。


私は懇願した。


「今日じゃなく、いつか必ず行きますんで、


殺すのだけは、お願いします」


「いつかと、お化けは存在しないんだ!」


そいつは、古~い格言?を言って、


もう我慢ならんという感じだ。


「わ、わかりました わかりました。


時間はあるんで何とか行こうと思います。


無料の野毛山動物園に・・・」




人は何を出来るか、それぞれ違う。


私は、阪神の時も、今回も少し離れた所で


物が倒れるほどで済んだ。


会津若松で1年ほど済んだ事あるが、


この時期でも、雪は積もり非常に寒い。


あの頃 出会った人達がよみがえる。



私は人生最悪の状態から、少しずつ回復しつつある。


何の力も 持ち合わせてはいないかもしれない。


ただ、安い展示物の白いカーテンを買い、


朝の光で目覚め、


昼間は、電気をなるべくつけずに、


節電を心がけ、そして、


ネットから、わずかなお金だが、募金した。




いつかではなく、今日だ。









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