ボブとニックの旅物語
オドントグロッサム ⑤
「なあじいさん あの女たちは 一体どういう奴らなんだ?」ニックは聞いた。
「なあに そっちの奴と同じじゃよ。
馬鹿な男たちが あの女の魅力に 特別な感情になって入れ込んだんじゃ。しかしあまりにも、人数が多くて、女は決めかねた。そして、男たちは争い 自分たちの 歯{オドント}と 舌{グロッサム}を差し出して
、あの女の好きな色 黄色に包まれて 化け物へと変身したんじゃよ。奇妙な話じゃ。
そこまでして あの女に、1番特別な男と認められたかったのじゃろう。哀れな話じゃ
ホッホッホッ」
ボブとニックはトボトボと歩き始めて 街を出て もと来た道を戻って行った。
ボブが、黄色の泥を拭いながら、
「もう俺は 二度と結婚なんてしねえからな」
と叫んだ。結婚も何もしてないのだが・・
ニックは、笑いをこらえながら、後ろを振り返った。
そこには、街も洋館もなく そして、汚ねえじじいもいなかった。
ただ、黄色を散りばめ独特の彩色を施した
オドントグロッサム{特別の存在}の花が
あたり1面咲き乱れていた。