同フィルムを見て、フォレスト・ウィテカーが大好きになったんです。この『クライング・ゲーム』、話がうまいんですねえ。しかも、ファーストシーンがまたいいんです。思わずのめり込むように作ってあるんですね。どんな映画か……。ある遊園地で一人の女が黒人の男を誘惑する。女は黒人の前で、にっこり笑いながら着ている服の前を開いた。胸がみえる。男は、笑いながらその女の胸に手をやる。その瞬間、男はグッと後ろから締め付けられ、頭から黒い頭巾を被せられた。「俺、何もしてねえよ」と言いながらズッズッと引きずられ、引っ張って行かれるところから、同フィルムは始まります。このように始めから、何だろうと思わすようなファーストシーンっていいですね。見てて、ええっ?と思います。
クライング・ゲーム DTSスペシャル・エディション [DVD]/スティーヴン・レイ,ミランダ・リチャードソン,フォレスト・ウィテカー
¥4,179
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黒人の男がどこかの部屋へ連れ込まれました。その部屋には5~6人いるけど、黒人に聞かれたらイヤだから、みんな物を言わない。このあたりの駆け引きが面白いですね。それでヒソヒソとやっている。黒人のほうは何だろうと思って、ただじっとしています。実は、この連中はアイルランドの革命一派で、自分の仲間の一人が捕らえられているため、交換用の人質として、この軍人である黒人を捕まえた。ゆくゆくはこの男を身代わりにしようとしていることが、私たちには分かります。けれど、この黒人には分かりません。「なんで、俺は捕まえられているのか?」 そうこうするうち、夜が明けます。いきなり、表へ突き出されます。表には見張り役の若い白人の男がついてます。その男に黒人が言います。「俺のこの頭巾とれよ」と言います。若い男は黒人に顔を見られたくないから、半分だけ、鼻から下だけ開いた。すると、その黒人、フォレスト・ウィテカーが、ハアーッと空気を吸う。舌なめずりしながら、朝の空気を思い切り深呼吸します。「朝の空気はうめーやあ」と言う。この演技、唸ってしまいました。いい役者です。これがファーストシーンです。
そして、「俺、小便したいんだよ。昨日から我慢してたんだ」と言います。相手は、庭の隅に行って勝手にしろ、と、彼を突き出しながら手で合図します。すると、黒人が怒ります。「何を言ってやがる、俺、両手をくくられてるんだよ。どうやってするんだよ!」そうすると、黒人と一緒に庭へ。隅で立ち止まっ黒人が彼を見て、「おい!前ボタンを取れ」キャメラは二人の背後にあるため細部は分からないが、どうやら男がボタンを取っているらしい。「おい!つまみ出せ」やはり後ろからですが、黒人の先っぽをつまみ出してる感じが、その姿から予想できます。すると、ズーッと水の音がします。「これでいい。おい!元に戻せ」白人が黒人のアレをつまんで直し、またボタンをしめている。「良かった。おい、おまえ、俺の懐へ手を入れてくれ」意味が分からないから、ちょっと怖い。「そこに帳面があるだろう。手帳だよ。それを出せ」白人の男は何も言わずにそれを出す。「その中に俺の彼女の写真があるだろう。女の。ベッピンだろう」と言います。「下に、所番地と名前が書いてあるだろう。俺、今晩あいつのところへ行きてぇんだよ。昨日、あれから行くつもりが、行けなかったから電話でもかけて謝りたいんだよ。それで、今日、行くつもりだよ。だから早く出せ。早く縄を取ってくれ」と言うんです。白人はその帳面をじーっと見ています。この女が、この男の彼女かって見ています。すると、この隙を待っていましたとばかりに、黒人が逃げた。白人の男が、しまった、逃げられた。と、思っていると、見えないところで「ドーン」と音がして、次のシーンでトラックにはねられて死んでいる黒人が映ります。これがファーストシーンなんです。
このファーストシーンのつかみ方はうまいです! そうして、この白人は仏心をおこします。写真の女に黒人が死んだことくらい言ってやろうと思うんです。そして、女のことを捜して、捜しまくった。捜し訪ねた先は、ロンドンの下町の汚いバー。その店で歌っていました。そこの楽屋を訪ね、「おまえ、この男を知ってるか?死んだよ」と写真を見せる。「そう」と、表情も変えず、平気な顔で応える。もちろん泣いたりはしない。なぜなんだ、悲しくないのか? どうなってるんだ、と思った彼は、翌日、翌々日、そしてまた明くる日と、3日続けてその女の所へ通う。この白人の男、これだけ通うと女に情がわきます。当然、仲良くなりたい。それで、とうとうある晩、女の部屋に泊まります。女と抱き合う。そしたら、その女が、「ちょっと、待って」と言う。「なんだい」「私を見て」「えっ、……!」下半身を見ると、そこにはなんとペニスが……。「おまえ、男だったのか」というシーン。やっぱり、うまい。続きが、次から次へと見たくなる。(2010/05/25)

