弘美ちゃんの所で仕えるようになった近江ちゃんの噂は、六条屋敷にも聞こえて来ています。

今日も今日とて、琴を教える名目で玉子ちゃんの所に来ている光くんは、「内大臣も酷いよね~。今までひっそり暮らしてた娘を引き取っておいて、思っていたのと違うからって、人目につく姉妃の所に行儀見習いに出して、笑い者にしてるんだから」と噂に乗っかって、ヤンキー兄やんを貶します。

玉子ちゃんも、(自分も京都を遠く離れた博多で、何も知らずに育ったんだもの。内大臣のお父様に引き取られていたら、同じ目にあっていたかしら...。光お父様の所に引き取られて良かったのかも)と考えていました。

確かに光くんは、際どい愛の囁きや、過度のスキンシップを求めて来ますが、プラトニック?ラブで、最後の一線は超えない様にしているので、玉子ちゃんも心を許すようになっていました。

和琴のレッスンが終わった後、光くんと玉子ちゃんは秋の長い宵の口に寝転んでイチャイチャしていました。
(光源氏ともあろう者が、こんなにグズグズしているとはね...)と自分を笑いながら、(そろそろ帰らないと紫ちゃんが怒るな)と帰ろうとした際に、庭の篝火が暗くなっているのが気になりました。

「誰か、玉子ちゃんが怖がるといけないから、篝火が消えない様に気を付けてやって」と、玉子ちゃんの頭をポンポン、ナデナデしています。ちなみに玉子ちゃんは22歳、そんな歳ではありません。

「♪(篝火のように)激しく燃える恋の焔は誰にも消せないの 切ない片思い~」と光くんが唄うと、

「そんな恋の焔は煙と一緒に空の彼方に飛ばして下さいな」と玉子ちゃんもかわし方が上手くなってきました。

そこに、夕霧くんのいる辺りから、見事な笛の音が聞こえてきました。また、ヤンキーズJr.が来ているようです。「ああ、見事な笛だ。あれは柏木だろう」と、光くんは彼らを呼び寄せます。

やって来た息子達と、セッションを始めます。光くんは今まで玉子ちゃんに教えていた和琴、夕霧くんが笛を吹きます。柏木くんが遠慮して中々加わろうとしないので、光くんが「はい、どうぞ」と和琴を渡します。

ヤンキー兄やんの息子だけあって、琴も見事なものです。実の姉とは知らない柏木くん、玉子ちゃんに届けと、心を込めて演奏するのでした。響け!ヤマトゴト!

【教訓】急いてはことを仕損じる。若者同士なら勢いでやっちゃっても良いですが、年齢差がある場合、焦ってはいけません。しかし、関心のない態度をとっては気持ちが伝わりません。
情熱的な言葉とスキンシップをとりながら、決して無理強いはしないことで、下心で一杯の光くんは玉子ちゃんの信頼を得てしまいました。危ない危ない。