「DAY TRIPPER」をめぐる冒険 | ざっくの♡更新お知らせブログ(仮)

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諸事情(新型コロナとかの感染症のせいじゃないよ)によりここのところずっとライブに行けていないので、ずっとお家で音楽を楽しんでいる。

自分の好きな音楽のルーツって何かな、と振り返ってみると、やはりYMOに行きつく。

YMOの2枚目のアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(SOLID STATE SURVIVOR) がリリースされたのは1979年9月。当時私は12歳。「TECHNOPOLIS」「RYDEEN」BEHIND THE MASK」「SOLID STATE SURVIVOR」と今でも聴き継がれるような颯爽たるテクノポップが並ぶ中に、1曲だけカバー曲がある。

「DAY TRIPPER」

今だと「言わずも知れた」レノン=マッカートニーのビートルズの楽曲と言えるのだが、当時12歳の私はビートルズといえば「イエスタデイ」とか「レット・イット・ビー」くらいしか聴いたことがなかった。もちろん「DAY TRIPPER」の原曲も知らなかった。もし、ビートルズの「DAY TRIPPER」を聴いたことがあったなら、「なんじゃこりゃ~」と怒っていたか戸惑っていたかもしれないが、私にとっての「DAY TRIPPER」はYMOがカバーした「DAY TRIPPER」が初体験。全く、無知である、ということは恐ろしい。だからこそ、その出会いが心に刻まれるのかもしれない。

ビートルズの原曲ではかなり病みつきになるギターのリフレインから始まるが、YMOのカバーはベースのようなシンセサイザー音から始まる。あのビートルズの原曲では印象的なギターのリフレインもちょっとぷわんぷわんとしたシンセサイザーの音で原曲の印象とはかけ離れた、まさに「ロック」が「テクノ」に取り込まれたような印象を受ける。

その代わりにYMOカバーの「DAY TRIPPER」の中で鮮烈な印象を残すのが、中盤のギターソロだ。

当時は、「テクノ」と「ロック」は対極の関係のように私は思っていた。同じ電子音でも機械化された楽器が創り出す音と生の楽器が創り出す音。この曲では「テクノ」の中にいきなり「ロック」が割り込んで来る。それは「テクノ」に対する「ロック」の道場破りのようでもあるし、いざ試合が始まったらこの果し合いを「テクノ」と「ロック」の両方が楽しんでいるかのような印象を受ける。

このギターソロが、シーナ&ロケッツの鮎川誠さんだとその当時から知っていたかもしれないが、普段はレスポールを使っている椎名さんがこの曲ではストラトキャスターを使って、しかも6弦を外した5弦のオープンGチューニングで弾いた、というエピソードを知ったのはそれからかなり後のことだ。
今でも「オープンGチューニング」?それって魔術か何かですかくらいにしか思えないのだけれど、それをキース・リチャーズがよく使っていた手法だと知らなくても、その当時、ローリングストーンズも「サティスファクション」とか「ホンキー・トンク・ウィメン」くらいしか聴いたことがなくても、あのギターはビートルズっぽくないよな、どっちかと言えばローリングストーンズぽいよな、くらいは思っていたはずだ、当時の自分。

どうも自分は「テクノ」と「ロック」のような対極の関係と思えるようなものが混ざりあって、そこから突拍子もないものができあがるのが面白いと思う傾向があるようだ。その原体験がYMOの「DAY TRIPPER」の鮎川誠さんの道場破りのようなギターソロだったのかもしれない。そんなことをYMOの「DAY TRIPPER」を想ったりもする今日この頃。ああ、そんなライブが観てみたい。

 

 

そして改めてビートルズの「DAY TRIPPER」を聴いてみる。あのギターのリフレインは病みつきどころか、中毒性がある。ずっと聴いていたくなる。まさに「DAY TRIP」したくなる。これはヤバイ。