ジャニーズ問題が盛り上がってますね。
実は高校生の時にそっちの世界を少しだけ垣間見たことがあります。
今はドラえもんに近いただのぽっちゃりオヂサンですが、当時は紅顔の美少年(たぶん)でしたので、なんかの拍子にYさんというジャニーさんと同類の芸能界のプチ大物に見そめられ、すったもんだの末、かろうじて逃げ切ったことがあるのです。
この一連の出来事はなかなか面白く、私は詳しくお話しても構わないのですが、誰もが知る女性歌手と芸人が絡んでいて、一部の芸能関係者は登場人物を特定できてしまうと思いますので止めておきます。
いずれにしてもこの一件で分かったのは、まだ社会の表に出ていなかったゲイの方たちも含め、当時の芸能界では抱き抱かせが取引材料の一つとして日常的に行われているということでした。それが男女になれば、母数の多さや相手探しの簡単さから、ゲイの方の数十倍、数百倍の同じことがあるのでしょう。
当時から芸能界には裏の面があることは薄々感じていましたが、ここまで露骨かつ普通に一般常識とかけ離れたことがなされていたことに驚きました。
そんな経験から、ジャニーズ事務所に興味を持ち、ニッチもサッチもどうにもブルドッグの北公次さんの暴露本あたりからウォッチしていました。タレントには興味ありませんが、ジャニーさんがいったいどういう道筋をたどってここまで来たのか、知りたかったのです。
ジャニーさんはある日、知人が少年野球チームを持っているというので見に行ったそうです。
そこで爛々と目を輝かせているジャニーさんを見てその知人が同好の士と気付き、「君も少年野球チームを作ればいいんだよ」と言ったそうです。
これは我々が聞くと「なんだ、そんなことか」と思いますが、ジャニーさんにしてみれば目から鱗が落ちるようなエポックメーキング的なことだったに違いありません。何しろ堂々と、しかも親に感謝されながら少年たちをいくらでも集めることができ、もしかしたら着替え姿を見たり、合宿などでエロいこともできるかもしれないのです。
その瞬間から、ジャニーさんの頭の中は少年野球チームのことでいっぱいだったのでしょう。
しかし、実現してしまえばそれだけでは物足りなくなるのが性癖の厄介な所です。
これは私の想像ですが、しょせん少年野球チームではできることに限界がある、いっそのこと芸能事務所にしてしまえば昼夜を問わず少年たちと一緒にいられるし、エロいことをできる機会も格段に多くなる、とジャニーさんが思ったのは自然な流れだったのでしょう。当時の芸能事務所は社長の家に新人タレントを下宿させて、生活丸ごとの面倒を見るというのが多かったようです。
そのためにジャニーさんはある芸能事務所に入って修行し、少年たちの受け皿を芸能事務所にも広げたようです。
しかし、事務所を立ち上げただけではまたすぐに限界が来てしまいます。
少年たちをうまく売り出せなければ事務所を維持できず、少年たちとの甘い生活はうたかたの夢で終わってしまうのです。
これも想像ですが、そこでジャニーさんは考えました。
テレビ局やレコード会社のお偉方にも一定割合のゲイがいるはずだし、自分もそうだったように相手探しに困っているはずだ、それならそういう人たちに美少年たちを供給し、その代わりに仕事を回してもらえばいいと。
芸能界のお偉方に若い女性を供給する事務所ははいて捨てるほどあるでしょうし、個人で枕営業をやっている人も多かったはずです。しかし、次々と新しい美少年を安定供給できる人はなく、ジャニーさんは独占的にその地位を確立していったのでしょう。
これはなかなかうまい仕組みで、美少年の供給によって役をもらったり、レコードデビューを果たし、それを目当てにまた少年がジャニーズ事務所に入ってくるという好循環が生まれます。
もしかしたら、事務所を立ち上げる時点で、このスキームは織り込み済みだったのかもしれません。
女性ならまだしも、少年を供給されたお偉方も表ざたにはできないでしょうから、多くのテレビ局や出版社、レコード会社がジャニーさんに秘密を握られたも同然で、拡大再生産的にジャニーズ事務所が影響力を拡大したことは想像に難くありません。
このようなジャニーズの美少年供給はハッキリした証拠はありませんし、現役の個人につながることですので慎重にならざるを得ませんが、状況証拠だけでも確信するには十分だと私は思っています。
一つは、そうでなければジャニーズ事務所がここまで成り上がった経緯に空白が生じます。
正直アイドルはお金をかければ誰でも作れるものであり、そうであれば売り出せるかどうかは事務所の人脈にかかっています。
過去にはナベプロ、ホリプロ、田辺エージェンシー、サンミュージック、バーニングなどが芸能界で大きな力を持ちましたが、これらの創業者はテレビの黎明期からの人か、かつてのグループサウンズのメンバーであり、芸能界に深く根を下ろし、横のつながりも強かったのでポッと出のジャニーさんが入り込むすきはありません。
ジャニーズ事務所は後に所属タレントの人気を背景とした影響力を持つことになりますが、事務所設立からそうなるまでには、これらの有力既存事務所の人脈を上書きできるほどの特殊かつ非常に強い理由がなければ線がつながらず、初期のジャニーさんが持っていた唯一の武器は美少年たちだけなのです。
もう一つは、前述のような有力事務所でも、ジャニーズ事務所ほどの圧倒的な影響力を持つことはできなかったということです。
せいぜい売れているタレントに新人タレントをくっつけて押し込んだり、たまに独自企画の番組や映画を作れる程度で、ジャニーズ事務所のように総合的にキャスティングや企画にコミットし、ニュースからバラエティまでテレビ欄を所属タレントで埋め尽し、新作映画には必ず所属タレントを入れるなどという芸当は誰にもできなかったのです。
明らかに不自然な力が働いていたと思わざるを得なく、冒頭の抱き抱かせが横行していた当時の状況を考えても、芸能界やマスコミへの美少年供給がジャニーズ成立の最も大きな要素だったのではないかと私は思っています。
そのようにして影響力の発端をつかんだ後は、よく言われるようにジャニーズを叩くと番組にタレントを出してくれなくなるなどの、いわば普通の圧力団体に変貌して今日に至るわけですが、それはジャニーズ事務所を実質的に切り盛りしていたメリーさんの仕事でしょう。おそらく冒頭のYさんもジャニーさんのスキームを真似しようとしたものの、ある程度のところでメリーさんにつぶされたのではないでしょうか?
さて、この古くて新しいジャニーズ問題は誰が悪いのか。
ジャニーズ問題というのはジャニーさんの性癖一つから始まった問題です。
しかし、性癖のほとんどは生まれ持ったものであり、それそのものは罪でも何でもありません。世界にはエッフェル塔の足の鉄骨に体をこすりつけると性的興奮を覚える人もいるようですが、誰が何に興奮しようが他人があれこれ口を出すことではありません。
ただし、その性癖が反社会的な行為として表現されるのであれば、それは非難の対象となりますし、場合によっては犯罪です。
例えば、拉致監禁して暴力をふるい、強引にエロいことをすれば、相当に重い犯罪になるわけです。
しかし、初期のタレントは別にして、ジャニーズ事務所には少年たちの方から押しかけています。
そして入所後はエロいことも拒否できたようですし、ましてや暴力を伴った行為はなかったようです。
一方で、拒否すればテレビ出演を見送られたりするなどの無言の圧力が存在し、実際には拒否できなかったという話もありますが、私はすごく疑わしく感じています。なぜなら、自分の不出来を才能や実力のなさと認められず、他人や環境のせいにする人が世の中にはあふれているからです。
もし本当にそうであればジャニーさんに体を許した少年しか世に出られないことになりますが、さすがにそんなバカげた基準ではあれだけの長い期間、売れるタレントを世に送り続けることは無理でしょう。
普通の会社でも、ひいきの文化が強いと競争力が落ちて長続きしません。
では、息子をジャニーズ事務所に入れた親はどうなのか。
ジャニーズ事務所はごく若いうちに入るので親の承諾、というより強い意思が必ず働いています。
「ジャニーさんがそういう人だとは知らなかった」という親がいるようですが、ごく初期を除いてはそんなことはありえません。昔からジャニーさんの性癖は問題提起されて巷では語られていましたし、国会でも取り上げられています。もし本当に知らなかったとしたら無知、無責任にもほどがあります。
しかし、これもよくよく考えると奥深いものをはらんでいます。
現在は価値観が多様化して様々な成功の道がありますが、ごく最近までは一般人の成功とは一流大学を出て一流企業に入るという道しかありませんでした。知性や教育に恵まれない人が水面に浮かび上がるには、芸能人かスポーツ選手になる以外になかったのです。
もちろん芸能人やスポーツ選手になるのは違う意味で難しいわけですが、たまたま家に美少年が生まれたなら、不遇な自分たちや一族郎党が浮き上がる100年に一度のチャンスであり、その入口として目の前にはジャニーズ事務所がさん然と輝いています。
良からぬ噂もあるけれど、取って食われるわけでもないし、一族郎党のために息子には多少の我慢してもらってこのワンチャンスに賭けよう、となることは想像に難くありません。
深刻度は違いますが、貧困から娘を女郎屋に売っていた時代の現代版の匂いもします。
少年本人も、特にネット時代以降は間違いなく知っていたでしょうし、知らなかったとしても、あの年回りの子供たちが入所後に情報交換しないとは想像できません。つまりジャニーさんが布団に入ってきた時点では今から何をされるか分かっていたわけで、その前に逃げるチャンスは誰にもあったということです。
それよりもSMAPのような大スターになりたいという気持ちが勝り、気持ち悪いことを一時間我慢する程度なら家族のために耐えられると考えたのだと思います。ただし、子供ゆえにそのようなことがどれだけの心理的インパクトを生涯に渡って受けるかまでは想像できなかったことも確かでしょう。
そういう意味では少年たちは想像力の甘さに付け込まれた被害者ということは言えるのだと思います。
しかし、それでもジャニーさんに売り出してもらえる、またジャニーさんは本物の子供好きでもあり、多くの少年は愛情を感じていたようですので、愛情に飢えた少年にとってはそのメリットもあり、ほとんどの少年の中では子供なりに損得計算ができていたのだと思います。
結局ジャニーズ事務所というのは、白眼視されてきたゲイの人たち、有名になってより楽な生活をしたいと願う親や本人、金儲けをしたい上に弱みを握られた芸能界やマスコミ、そしてイケメンを見れば無条件にピョンピョン飛び跳ねて小遣いをつぎ込む女子中高生が作り上げた巨大な社会システムであり、暗い影がありながらもそれぞれにとっては有益なものだったということなのでしょう。
例えば、警察力が弱かった戦後の治安維持をヤクザが担っていたなど、陰のある社会システムというのは是非を問わず人間社会には不可欠なものであり、必要悪と言ってもいいかもしれません。
今回のジャニーズ問題はイギリスのBBCが日本社会の暗黒部分として取り上げたのがきっかけですが、結局このシステムは同質化社会の圧力が生み出した必要悪であり、そこだけ取り出して切り捨てれば済むような話ではないのです。
しかし、今後は今までのようにはいかないでしょう。
ゲイの方たちも市民権を得つつあり、芸能界やマスコミも姿勢を正すことを要求されています。
陰の部分がどんどん薄くなり、このシステムの必然性はなくなりつつあります。
ジャニーさんが亡くなったころからその兆候が顕著になり、現在は絶賛崩壊中なのでしょう。
まさに盛者必衰の理そのものです。
どうせならBBCにはジャニーさんの生前に問題提起していただき、ジャニーさんが何と答えるのかを見たかったところです。