キッチンのアイテムや収納を見直して以来、自宅全体の片づけを続けています。

最近は捨て活と言ったりするらしいのですが、元キャンカー乗りらしく「快適化」と言うことにします。

 

さて、すでに自宅快適化は一ヶ月以上続いていますが、ここへ来てなんでそんな大掛かりなことをしているかと言うと・・・

 

一つは、前述の通り、女房は一生使わないモノでも溜め込む性格で、賃貸にしてはかなり多い収納スペースもとうとう満杯になり、生活スペースにモノがあふれ出てきています。

廊下にも常に物が置かれていて、見た目によくないばかりか生活がしづらくなってきているのです。事前に収納できるかの算段をつけないと、ちょっとしたモノも買えなくなってきています。

 

私も私で不便でなければ片づけということに興味がなく、特に服に関しては仕事着以外は若い頃から恐ろしいほど無頓着で、それを見かねた身内の女性たちが服をプレゼントしてくれるのですが、そんなことには見向きもせずに一番上に置いてあるヨレヨレの服だけを着続けた結果、洋服ダンスの中が所有した覚えのない服ではちきれそうになってきています。

 

まだ散らかっている感はありませんが、言わば収納済みゴミ屋敷のようなもので、ここで一発奮起して快適化をしないと、ついに夜逃げでもしなくてはならない状態まで追い込まれているからです。

 

もう一つは、若い頃は「いつか使うかもしれない」、「いつか興味が湧くかもしれない」と未練が先に立って捨てることが難しいものが多かったのですが、還暦に近づいて「いやもう絶対使わないな、興味も湧かないだろうな。」という見立てがハッキリできるようになってきたからです。

 

さらに、家電なども洗濯機はもう12年も使っていますし、電子レンジは押ボタンの被覆が破け、洋服ダンスは引き出しレールが外れ、本棚は背板が抜けています。

 

それでも、以前の私はそんなこと気にもせず、「人間は座って半畳、寝て一畳」とノン気なことを言っていたのですが、コロナ禍でほとんど家にいることと、キャンピングカーの快適化で生活周りを整える面白さを知ってしまったということもあるのかもしれません。

 

いずれにしても、家電や家具を買い替え、収納用品を用意し、いらないものを片っ端から人にあげたり売ったり、また捨てているうちに、徐々に家が快適になってきました。スキマ収納や収納グッズなどはキャンピングカーの快適化で培った「あきらめない気持ち」でネットを探しまくり、ほとんどのモノがシンデレラフィットをコンプリートしています。

 

ついでに、テレビを壁掛けにしてみたり、キッチンにLEDテープを仕込んでシャレオツにしてみたりという余裕もぶっこき始めた次第です。

 

開始一カ月で家から運び出したモノは、70Lのゴミ袋換算で70袋くらいで、ちょくちょく大田区が取りに来る粗大ごみや今後予定されている不用品を入れると、最終的に120袋換算くらいは捨てることになりそうです。捨てたモノだけで若夫婦家庭2軒分の家財道具くらいあるでしょう。

 

それだけの不用品が家にあったかと思うと今さらながらゾッとするとともに、女房の詰め込み術のすごさを思い知らされます。

 

それにしても、女性の持ち物は男性の3倍くらいあるのではないでしょうか?

まず服やバッグ、靴、体に塗りたくる変な薬剤、チマっとしたファッションアイテム、一時期流行ったものの残骸、思い出アイテムなどが、滾々と沸き上がる泉のように次から次に収納の中から出てきます。

 

女房はその度に捨てるか捨てないかをクヨクヨ悩み出し、私はまたしまわれてしまうのが怖くて、「いつか使うの?使わないんでしょ?」と詰め寄ったりしています。

 

現在は共有物や私のモノは9割終わり、伏魔殿のラスボスと言われるウォークインクローゼットを残したのみとなりました。

ウォークインクローゼットの入り口付近には私の服もかかっていますが、その奥はほとんどが女房のモノであり、私は恐ろしくて中に入っても奥は見ないことにしていました。

 

しかし、戦う前から戦意を喪失しているのか、女房はいつまでたってもウォークインクローゼットに手を付けようとしないので、今日勇気を振り絞って強制捜査に入ったのですが、服やバッグ、用途不明のアイテムが山積みで、おまけにいつの間にか引きずり込んだ家具にもギッシリ何かが詰まっています。

私はラスボスから渾身の一撃を食らったようにヨレヨレになってウォークインクローゼットから這い出し、「私にはラスボスに勝てる力はない」と女房に告げました。

 

それを聞いて女房も覚悟したのか、リビングに広げたブルーシートの上にウォークインクローゼットから運び出した服を次々と積み上げました。

うずたかく積まれた物品は、それでもまだ3分の一くらいだと思いますが、バイオハザードならナイフ一本でラスボスを倒す女房のことですから(200回くらい死にましたが)、必ずや打ち勝ってくれることでしょう。

 

ところで、今回の快適化で面白いことを知りました。

 

少し前に不要な食器、本、CD、ゲームソフトを蚤の市のようにブルーシートに並べ(700点くらい)、まず身内に来てもらって欲しいものをもらってもらいました。

 

その後、いわゆる買取屋さん2社に出張買取に来てもらいました。

はじめに来たA社は若い人が一人で来て、15分くらい査定して「一つも値段がつきません」とのこと。

 

それから数日して次のB社が二人できました。

2時間ほどていねいにモノを見て、100点くらいを5,000円ちょっとで引き取って行きました。

しかし、買い取った多くは使い古したラーメン丼や元々はプリンの器だった大量のココットなどであり、本は30冊ほどに過ぎず、残した本は「ブックオフでも値段はつかないと思いますよ」とのこと。

 

売れ残った食器はもう捨てるしかないのですが、本やCDは一縷の望みをかけてダンボール六箱に梱包し、ブックオフの宅配買取サービスに送ってみました。

その一週間後にメールが来て、なんと約400点中300点を14,000円で引き取るというのです。さらに、買わなかった残り100点も向こうで処分してくれるそうです。

B社が「ブックオフでも引き取らない」と言ったものに14,000円の値が付いたことは素直にうれしかったのですが、すぐに私は唸り始めました。

 

「ん~、同じ土俵で商売しているはずなのに、なんで他の業者が買えないモノをブックオフは買えるんだろう? それも買い取れないモノは処分費用も出してくれて・・」

 

一体どういう仕組みなのでしょう。

 

ここからは推測です。

 

まずA社の若い人は、新人かなんかでまったく目利きができず、「数が揃っているブランド物の食器なら買えるんですけど・・・」と言っていましたので、おそらく上司から「それ以外は買うな」と釘を刺されていたのでしょう。

私だったら、「この家庭は断捨離中だから、金額よりもなるべく多くのものを引き取ってくれることを望んでいるだろう、だったらとりあえずすべてを3,000円で買い叩いて、会社に持ち帰って上司に選別してもらえばいいや」と勝手に買い取りますが、そういう機転も利かなかったのでしょう。

 

B社はていねいに見ていましたので少なくとも目利きは出来るようで、自分たちが売る自信のあるものを選んで買って行きました。ただし、彼らが無価値と判断した本やCDをブックオフが14,000円で買うとは夢にも思わなかったでしょう。

 

会社によってここまで違うと、もはや目利きの問題というより、それを売る仕組みの問題のような気がします。

 

買取屋さんというのは、出自によって古本屋系とか、ブランド物屋系とか、カメラ屋系とか、質屋系とか、リサイクルショップ系とかに分かれるのではないでしょうか?

 

さらに、東京などの所得水準の高い所から出た品は品質のいいものが多く、乱立している地方のリサイクルショップが買うと思いますので、そのような業者間取引などもあり、かなり複雑な生態系を持っているのではないかと推測します。

 

その全容までは想像も及びませんが、原則としては自分たちが売る自信のあるものをより高く買うようです。テレビで見たのですが、あるリサイクルショップの方によると「家電に強いリサイクルショップは家電を高く買い、家具に強いリサイクルショップは家具を高く買う。なので店に行って売り場を見ればどこで何を売ったら高く売れるかが分かる。」とのことです。

 

なるほど、それはそうでしょう。

 

しかし、それでも2社が無価値と言い切った本やCDをブックオフが14,000円で買い、引き取らなかったものまで処分してくれるというのは、あまりにかけ離れすぎています。

 

美術的価値や歴史的価値のある本ならまだしも、私が売った本の大部分は司馬遼とトムクランシーの単行本ですから・・・

 

ここでさらに勝手な推測です。

 

ブックオフは上場企業ですので規模やシステムが他とは違うはずですし、買ったものを高く売るノウハウやリクエストの顧客も多く持っているのでしょう。

 

高く売るノウハウとは、例えば神田の古本屋に行くと、同じ作家のシリーズをセットでビニールに包み、ある程度の金額で売っています。買う方もあっちこっちに言って買い集めなくて済みますので、少々高くても割に合うわけです。

例えば、私が売った司馬遼の「街道をゆく」や塩野七生の「ローマ人の物語」は全巻揃っていませんが、ブックオフの手持ちの物と合わせれば全巻セットになってより付加価値が高まるのではないかと推測します。

もちろんそのような在庫はデータベースで中央管理されおり、入力すれば在庫と見合わせて買値の最適解が導き出されるようになっているのだと思います。

 

また、顧客リクエストを多く持っていればいるほど、確実に売れる本が多くなりますので規模の大きいブックオフは有利であり、これもデータベースを叩けばリクエストの有無と照合し、自動的に買値がはじき出されるのでしょう。

 

そして最大の謎は引き取らなかったものにかかる処分費用です。

送料もブックオフがすでに出していますので、その処分費用まで出せば、引き取った分で生じる利益など吹き飛んでしまいます。

おそらく、子会社か関連会社に古紙回収や資源リサイクルの会社があり、そこに持ち込めば(実際には回収に回ってくるのだと思いますが)少なくとも無償で引き取ってもらえるのではないでしょうか。

 

それなくしては、この宅配買取という仕組みは成立しないように思います。

 

カメラの買取価格などは必ずしもブックオフがいいわけではないようですが、「紙」にはやはり圧倒的な優位性があるのでしょう。

 

結局のところ、最も高く売ろうとすればヤフオクかメルカリに一品ずつ出すのがベストなわけですが、そんなメンドーなことはできるはずもなく、買取屋さんにお願いすることになるわけです。

その際に、「こういうものはあの会社、こういうものはあの会社が高く買ってくれる」ということを知っていれば、買値総額はケタが違ってくるように思います。

 

また余計なことを考えてしまいました。