キャンピングカーのサブバッテリーの電気は直流(DC)。

それに対してコンセントに刺して使う家電は交流(AC)の電気を必要としますので、家電を使うためにはDCをACに変換するインバーターが必要です。

 

しかし、実は家電の多くは内部ではDCで駆動していますので、その場合DCをACに変換してから改めてDCに戻すというムダなことをすることになります。

 

これはスマホやタブレットの充電も同じで、充電ケーブルのUSBはDCですが、充電する時は付属のACアダプターをコンセントに刺して電気を取ります。

 

別に変換してもいいじゃんと思われるかもしれませんが、インバーター、ACアダプターともに変換効率というものがあって平均でそれぞれ85%くらい、二つ通すと30%以上も電気がムダに失われることになるのです。

 

さらに、インバーターはそれ自体電気を食い、特に変換容量の大きなものは冷却のためのファンがよく回ります。

 

自動車の場合はDCをシガーソケットから取れますので、それを直接家電につなぐことができれば電気を大きく節約できることになります。

 

ただし、いくつか注意点があります。

 

一つ目は、サブバッテリーの出力電圧は12Vですが、家電のDC入力電圧は製品によって9V~24Vとバラバラで、電圧が合わなければつなげても使えません。

 

その場合は、昇降圧器を挟んで電圧を合わせる必要があります。

 

二つ目は、シガーソケットは電圧が不安定であり、12Vと言っても実際には11V~14Vの間をウロウロします。

なので、ほぼすべての家電は付属のACアダプター以外の動作を保証しておらず、動作しないばかりか壊れたり、寿命が短くなる可能性もあります。

 

電子系の家電は入力電圧を厳密にコントロールしていますので、そのくらいの差であれば問題がないと私は思っていますが、安物の家電は実際に壊れる可能性もあると思いますので、その場合はレギュレーターと呼ばれる電圧を一定に保つ部品を挟むことになります。

 

三つ目は、家電のDC入力のプラグにはいろいろなサイズや形がありますので、それに合わせたケーブルや変換プラグを用意する必要があります。

 

そして最後の注意点は、キャンピングカーに積んでいるインバーターの容量は300~2000Wと比較的大きく、同時に使える家電も多いのですが、シガーソケットの容量は規格として120Wまでですので、タコ足でやみくもに家電をつなげるとヒューズが切れます。

 

電装DIYができる方はサブバッテリーから直接取ることもできると思いますが、そうでない場合はインバーター以上につなげる家電を考える必要があります。

 

以上を踏まえた上で、ちょっとの工夫や出費でインバーターを通さずに使える家電をあげてみたいと思います。

 

 

(1)スマホ、タブレットの充電・USB製品

 

カーチャージャーなどでシガーソケットからUSBに変換して充電します。

Fire TV Stickやモバイルルーターなど、その他のUSB製品も、付属のACアダプターを使わずにすべてシガーソケットから給電できます。

 

 

カーチャージャー

 

 

 

かの国製ですのでUSBポートが一つは使えなかったりしますが、そこはご愛嬌です

 

 

(2)テレビ

 

テレビも内部はDCで駆動していますが、画面サイズが大きなものは内部にACアダプターが組み込まれていて、DCの入力端子がありません。

一部のACアダプターが付属している機種だけがDC入力端子を備えていますので、電圧が合っていれば汎用ケーブルでシガーソケットから直つなぎできます。

シガーソケット接続アダプター

 

 

 

ただし、安物のテレビは電圧が不安定なシガーソケットから電気を入れると壊れたり寿命が縮まる可能性がありますので、電圧が合っていたとしてもレギュレーターを挟んだ方がいいと思います。

レギュレータ

 

 

(3)ノートPC

 

ノートPCは入力電圧が高いものが多く、12Vのシガーソケットにそのままつないでも動作しないと思います(怖くて試していませんが)。またプラグの形やサイズも機種によってまちまちですので、それも合わせる必要があります。

 

アマゾンで探すと、ノートPC用のシガーケーブルが売られていて、さまざまなサイズの変換プラグも付属しています。

 

 

 

ノートPC用車載充電器

 

 

(4)各種充電器

 

カメラのバッテリーやエネループなどの充電器は、コンセントから電気を取る仕様になっているものがほとんどです。

しかし、サードパーティーからUSB給電の充電器が発売されている場合があります。

 

 

USBで充電できるエネループ充電器

 

 

USBから充電できるカメラバッテリー充電器

これは富士フィルム用ですが、各社用が発売されています

 

 

どうしてもUSB充電器が見つからなかったのは、マキタとドローンの充電器です。

 

 

(5)その他

 

その他もよく調べるとDC給電ができるものがあります。

 

例えば、バッファロー製の画像ストレージ「おもいでばこ」も、12VのDC入力端子がありますので、シガーソケットから直つなぎで問題なく動作しました。

 

 

 

 

BUFFALO おもいでばこ

 

 

 

最後に、DC給電にせずに、あえてACコンセントから電源を取った方がいいものもあります。

 

例えば、「タケルくん」などの車中泊用DC炊飯器は、不安定な電圧によって炊き上がり時間や炊き具合にムラが出ますので、うちでは炊飯器は家庭用のAC給電のものを使っています。(「ナベ・カマのこと」)

 

また、一部のサーキュレーターもDC給電できる可能性がありますが、キャンピングカーの居住部分のシガーソケットは数が少なく、季節や状況によって置き場所が変わるサーキュレーターはAC給電のものの方が便利です。(「サーキュレーター、大事大事」)