大三島の東側を路線とするバスが2023年春に廃線が決まった。

2022年夏に地域の役員、市の職員などが集められてバス会社の社長自ら

説明を行った。

廃線の理由一言。利用者の減少。

存続するか廃線かを住民に問う、ではなく

廃線を前提とした話し合いに座の一部は色めき立った。

私も質問した。

目の治療で今治に行く時にはバスは使った事があるが普段は車を使っている。

しかし廃線を地域の住民に説明する私の立場上、バス会社の言い分を

そのまま伝えるにはあまりにも、居直りというか取りつく島もない態度だったからだ。

 

住民との質疑応答の一部。

「バスを小型化して存続することはできないのか?」

「小型化してもかかるコストは変わらないので存続できない」

「学校に通う子供はどうなる」

「その時間帯だけスクールバスは運行するが一般客は乗車できない」 

 

私は手を挙げる。

「利用者の減少はやむを得ないが、廃線にいたる経営努力の過程を教えて欲しい」

バス会社の社長は数年前にバスを新しくした事や、他の利益が出ている路線の売上で補填してきたが

もう、限界だとすべて吹っ切れたような表情で言い切った。

他の住民から

「良い時代もあったはずじゃろう? その時にあんたら(バス会社)は何やっとったんじゃい」

社長は

「色々やったんです……」

口ごもるが集客をアップさせるためにアレをやった、これもやった。しかしこんな理由で上手くいかなかった、

など具体的な返事は聞かれなかった。

コロナ前。

リモーネではバスを乗り継ぎ訪れるお客様もいた。

リモーネで買い物した後にまたバスに乗り、三つ先のバス停留所にある

カフェでランチをして、一時間先に来るバスに乗って帰るお客様もいた。

あの頃に、旅行会社とタイアップしたりすれば何か延命策が見つかったかもしれない。

あくまで延命だが。

バス会社の社長は飄々としているが決して悪ではない。

社長いわく

「現行の一時間に一本のバスを二時間に一本にして、次に午前午後に一本ずつにして気が付いたら廃線という

フェイドアウトもやろうと思えばできた」と語る。

あえて矢面に立ち説明の場に身を現した事には敬意に値する。

しかし。

私はこの手の集まりを訝しく見てしまう。

配られた資料には他の地域で運行されている「乗り合いバス」のチラシが入っていた。

すでにある方向に着地点が決まっていて、地域住民を集めて説明をしたという既成事実作りにも思えなくもない。

会が終って市の方とも立ち話でその辺りを聞いてみたが

「まったくの白紙」

との返事。

まぁそうであっても言えないだろうが。

だが集められた場所が町の中心部である支所で行われた。

車に乗れない

「交通弱者」

が不在の中で行われた会ではあったが実のある話に繋がれば良いと思っている。