就農当時、諸先輩から「近道を教えてやる」とご指導を受けたが
失敗から学ぶことが一番役に立った。
せっかくの指導を体現できなかったのは私の力量不足であろう。
結果「近道はない」地道な努力を積み重ねるだけと悟り今にいたる。
誰かを、何かを熱烈に支持することは少なかったが
不器用な自分に根気よくボクシングを教えてくれたジムのトレーナー方には今も感謝の念を抱いている。
子供がまだ小さい頃、遅くにトイレに起きた私に子供を抱えて
TVを見ている妻から
「ミルク」
と声がかかった。
コップに牛乳を注ぎ持っていくと激怒された。
「ミルクと言ったらレンジで人肌に温めて持ってくるのが常識でしょうが!」
なんだ、子供に飲ませるのか。しっかしこれじゃ建築現場の親方みたいだな。
寝ぼけた頭でもやもやしながらレンジで温めた牛乳を持って行った。
昨年の8月に保護した猫「BON」は当然ながら我が家では新参者だ。
対称的に「ネロ」は我が家では一番の古株で、かつ山﨑家で一番器が大きいと称される猫だ。
ビロウな話だがネロはトイレの後に砂をかけない。
猫は外敵に自身の存在を隠すため本能的に砂を排泄物にかけるらしいが
ネロは敵はいないと弛緩しているのか、放置してトイレを去る。
するとBONがささっとトイレに入りネロの排泄物にせっせと砂をかけるのだ。
その一連の所作は見事な丁稚ぶりだ。
よかれと思ってか、砂かけ要員として用を足す他の猫の傍らで
スタンバイしているが他の猫たちには迷惑がられ拒否されている。
しかし良い行いをしていると盲信するBONはめげない。
まだ用が終りきらない内にフライングしてトイレに入って砂をかけ出すのだから
用を足している猫からしたら迷惑千万。
BONはきっと「僕って仕事できるでしょ!」
と張り切っているのだろうが私はこのような
師弟関係を人生で持った事がないので少しだけうらやましい。