助成金、補助金の類いはそう呼ばれているそうだ。
実現の見通しは置いておいて夢を語る作文力が大切だ。
「大三島から東京へ。そして世界へ!」
もの作りなどする際にはこのような文言が審査員の採否に有利に働く。
別に本当に島で作ったものが世界を席巻するなど審査員も思っちゃいない。
思っちゃいないが、熱き言葉、志、心意気に審査員は触れたいのだ。
そんな言葉を語られた日にゃ刺激された審査員は
「ビンビン♂じゅわっ♡」ってな感じで一票入れてしまうのだ。
東京で絵に描いた餅に責任をとらされた苦い経験を知る私は
この手の助成金にどうにも相性が悪いし不信感がある。
支給されてしまえば事業報告こそあるものの、あとはスルーだ。
ある事例で言うと農産物保管の為に大型冷蔵庫を助成金で購入したが
数年後に知人に売却した。自己負担を差し引いても。かなりの額がプラスになったと聞く。
毎年、多数の案件を抱えているから過去の案件を遡って調べる暇もないだろうし
助成金の旨味を覚えた人間は方便を駆使して局面を脱する術も身につけている。
助成金などは申し込みして採択されて初めて購入できるものが多いので
せっかちな私は先走りして購入してしまうので対象外となってしまう。
申請して審査され決定通知がきての数ヶ月がもったいない。
リモーネは就農して一年後に自己資金で店舗を開業した。
だが私自身が農業研修生という立場で当時、月額七万五千円をもらっていたために
研修生でありながら実態を伴う営農活動をしているという告発めいた
指導が幾度かあった。
研修生費用には手を付けずにいた私はその度に
「正式な申し出があれば返却します」
と伝えたが、そのうち
「六次産業に着手した新規就農者の成功事例」
の声が大きくなりに連れてその手の声は耳に入らなくなった。
けっ。
リモーネも今、助成金申し込みの輪に誘われている。
私が参加するとぶち壊しになるという理由で妻が窓口に
なっているが、どうなることやら。
叶わない事も多かったし挫折もたくさんしたが
自分で広げた風呂敷のたたみ方は覚えた。
それは自分の財産だ。