個人的にはとても興味深いニュースが公開されました。

※以下、それについて個人的に思うところをログっておきます。

 

「宝塚歌劇公演におけるチケットリセールサービスの取り扱い開始について」

https://kageki.hankyu.co.jp/news/20190805_010.html

 

「宝塚歌劇団が公認するチケット譲渡の場」として、外部の公式チケットトレードリセール「チケトレ」の取り扱いを公認した、というものです。

チケトレは「音楽事業団体(音制連、音事協、ACPC)公認のチケット2次売買サービス」というもので、すでにあるチケットリセールの仕組みを歌劇団が公認にした、という感じなのでしょう。

 

音楽事業団体の公認だからか、運営会社が「チケットぴあ」の会社だからか仕組みはよく考えられているような気がします。

チケットを譲りたい人(出品者)がチケトレサイトにチケットを出品、チケットが欲しい人(落札者)が希望するチケットを落札。

チケットは出品者から落札者に直接発送しますが、代金は落札者がチケトレ運営事務局に支払い、公演終了後に事務局から出品者に代金が振り込まれる、という仕組みだそうです。

 

しっかりしているな、と思える点は、万が一、公演に入場できなかった場合、事由に応じて購入者へ全額返金される点。

何も知らずに事故チケットを掴まされたときとかはチケット代金は出品者ではなく、落札者に戻ってくる可能性がある、ということでしょうか。

これは、チケット代金は公演終了後まで運営事務局が預かっていることのメリットかもしれません。

また、チケトレで購入したチケットには、購入証明書が発行されるため、本人確認が必要な公演でも、バウチャーの提示によりスムーズに入場することができる、というのも「しっかりしているなぁ」と思ったところ。

最近、タカラヅカのディナーショーでは本人確認するようになっているので、これは助かるかもしれません。

さすがこの業界で長年やってきた会社が作ったしくみだなぁ、というムードがそこかしこに漂っている!というのは超個人的な感想w

 

…と、しくみはしっかりしているのですが、しっかりしているが故に使い勝手面で微妙に思える点もあります。(個人的には2点)

 

1つは、出品・販売期限が結構厳しめなところ。

発券済みチケット(手元にチケットがある状態)の場合、出品期限は公演10日前まで、販売期限は公演7日前まで。
発券前チケット(発見番号がわかる状態のもの)の場合、出品期限が講演5日前まで、販売期限は公演2日前まで。
…例えば、急なご不幸などでチケットを手放したいような時には使えない、と考えたほうがよいかもしれません。

 

もう1つは、手数料

運営事務局がガッツリ絡んでしくみを作り上げているわけですから、それなりの手数料が必要になります。

 

出品者が負担する手数料は、

●チケット出品手数料(券面金額(←取引金額ではない)の10%、チケット券面金額の合計が3,999円以下の場合は一律400円)

●システム利用料(1送金あたり380円)

〇チケットの送料(出品者負担の場合のみ。チケトレ指定の発送に限られます)

(●が必須、〇はケースバイケース)

落札者が負担する手数料はよくわからなかったのですが、購入手数料(券面金額(←取引金額ではない)の10%、チケット券面金額の合計が3,999円以下の場合は一律400円)と決済システム利用料(購入したチケット金額の3%)がかかり、ケースバイケースで送料(510円)がかかるような感じかと思います。

これを安心料、あるいは観劇に伴うリスクの一つとして納得できるかどうか…でしょうか。

 

歌劇団の公認は「チケトレ」だけですが、帝国劇場では弊社よりご案内している販売窓口でご入場券をご購入後、やむを得ない事情でご観劇いただくことが困難になったお客様は、定価以下でのリセールを行っている以下のサービスのご利用をご検討くださいませ。」といって、チケトレともう一つの定価以下のリセールサイトが紹介されています。

 

もう一つのサイトは、「チケットを定価以下で交換する場」を提供するというイメージのサービスで、出品・販売期限がなく出品の自由度は高めで、事務局を通さない手続きであれば事務局に支払う手数料もゼロにすることができる、という、チケトレで感じる微妙な点がクリアできる反面、事故チケットの対応や本人確認で負う自己責任リスクは高め、という印象です。

基本的に出品者と落札者が直接やり取りするため、どういう方との取引になるのか、も運次第でしょうか。

 

それにしても、「定価以下でチケットをリセールするサービス」という点では同じなのに、見事にコンセプトが真逆なところが面白い!

歌劇団的には、しくみで縛ったサービスのほうが公認しやすい、というのはわかる気もします。

そして帝国劇場の、「公認はしないけれど、こういうサービスの利用も検討してね」という、言い回しの絶妙さに感服w

 

今のところの個人的な印象ですが、演劇・ミュージカル界隈のチケットについては、チケトレはかなり閑散としている取引量が少ないのかな?という印象です。

今回の公認を受けてチケトレがどうなっていくのか、ゆるーくウォッチしていきたいです。