新説狼と香辛料 狼と羊皮紙

 

やっと読み終わりました。

 

この狼と羊皮紙というのは、支倉凍砂 先生が前作で執筆した狼と香辛料に、前作の主人公、商人ロレンスに救われて共に旅をした司祭を目指す?コルとロレンスと前作のヒロイン、狼の化身で昔は神と崇められたホロの子供のミューリがヒロインになり、コルの夢である教会の歪みを正す物語です。

 

前作同様世界観がしっかり描かれていて、現代日本とのズレも多いので、世界観に浸りたいと思える文章ですが、トリックも仕掛けてくるので、油断して読むことができず、読了までには通常の同ページの小説よりも時間がかかります。

 

読むのは疲れますが、狼と香辛料シリーズの後半のホンワカ幸せ感も継承されており、一括りに表現できる語彙がざきにはありません。

 

はじめは、『ああ、長年売れ続ける狼と香辛料に乗っかった苦し紛れの延長作品かな』と疑いもありましたし、序盤は特に大きな問題も起こらず、『このままなあなあで進むのかな』と思っていました。

 

読み終えた今、『支倉先生ごめんなさい!ざきはこのシリーズにも羊飼いや狼に道を示してもらう羊たちのようについて行きます!』と謝罪と意思表明をしたい迷える仔羊気分です。

 

さすがプロ!しっかり起承転結を織り交ぜた。この1冊だけ読んでも満足できる作品だったと思います!

表紙には1巻と明記されていなかったですが、ここからコルとミューリの旅は2、3、4巻・・・と続いていくことを切に願います。

 

はじめは心配でした。例え娘といえど、ホロに匹敵するヒロインにミューリがなれるのかどうか・・・

 

しかし、一読者の心配など無用。

 

ミューリはロレンスとホロの愛娘。体質は若干違いますが受け継いでいますし、ホロと違って若いので世間に疎い初々しさや、若さゆえの無邪気さ(ホロの時折見せるギャップの可愛さも良かったが。)、ここぞという時に冴えわたるキレもありました。

 

そこがまた、ホロ劣化版ではなく、惹かれるnewヒロインでした。

 

ホロと違ってプライドがそこまで高くなく、素直なので『そこの領域にもう行っちゃうの!?』と前作と比較しても面白いです。

 

『読み間違いかな?』という二度見してしまう設定もしっかり寝られたもので、伏線になってましたし、途中の心配を補って余りある内容でした。

 

なんといっても8,9割目以降の怒涛の展開は気持ちよかった!

 

主人公コルは聖人を志す身なので、ロレンスよりも自分に対して制約が多いですが、ロレンスを近くで見て育っているので、受け継がれている土壇場に強い人間性は受け継がれています。

 

今回の相手は巨大勢力の教会。そしてそれに連なる進行する市民や利益を上げようとする商会まど、またもや何か行動をしたら世の中や人はどう動くかといった内容も考えさせられるものです。前作と切り口や目標が違うことも魅力でしょう!

 

前作と比較して見るもよし、本作から新たに見るもよし、ただし本作から読んでもきっと前作の狼と香辛料は無理強いする必要もなく読みたくなるでしょう。

 

熱く語りすぎました!それほど良かった!

 

それではまた!!