いじめの周りにいる子供たち |     在宅生徒会長

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         中学で2年間不登校だった娘は、
         困難な受験を乗り越え、高校2年生になりました。
         未だ完全復帰とは言えませんが、
         どうにかこうにか学校に通っています。

いじめ問題の記事などを読むと、
被害者のことにばかり目が行っていた。
自分のことのように苦しかった。

それから次に、加害者に目が行くようになった。
nonをいじめた子どもたちに対して、
私は本気で怒っているし、
機会があったら張り倒してやりたいと思っている。
nonのこの2年間の日々を返せ、って言いたい。

でもそれと同時に、
いじめた子らを、「かわいそうな子どもたちだ」、
と思う気持ちもある。
本気で、ある。


そして、最近気になっているのは、
どちらでもない、「周りの子」たちだ。

周りの子たちが変わることが、
いじめ問題では一番大切な事
なんじゃないかと思っている。


元中学校教師である宮下聡さんの講演を以前聞いた時には、
nonには当てはまらないせいか、ちょっとピンと来ない部分もあった。

でも最近ようやく、宮下さんの言っていたことが、
わかったような気がする。



いじめが発覚した時の対応としては、
いじめる側に働きかけていじめを止めようとするのが一般的。
でもそれですぐになくならない場合は、

「とにかく被害者の精神的負担を軽くすること」
宮下さんは言っている。

自殺に至るようなケースに共通しているものは、
被害者が集団の中で孤立すること。
だから、
「いじめの標的になっている子を
クラスの中で孤立させないような支援体制を作ること。」


それは教師が真っ先にしなければならないことであり、
すぐにできることであり、
学校・教師でなければできないことでもある
、と。
    (→ねえ、ちょっと聞いてる?ウチのセンセイたち!
      アナタたちは、なんでやってくれなかったの?)


標的になっている子の話を丁寧に聞いてあげた後、
宮下さんが取った方法は、
いつも一緒にいて、被害者を精神的に支えたり、
いじめの状況を先生に訴えたりできる
「仲間」を作ること。



「いじめを止めなくていい。
いつも側にいて、つらい気持ちをわかっていてほしい。
そして必ず先生に知らせて」




この方法のキーポイントは、
「いじめを止めなくていい」というところだと思う。

いじめが行われているクラスの中にいて、
「やめろ」と注意することは、
次に自らがいじめの標的になるという危険性をはらんでおり、
そうたやすくできることではない。
実際にそのことでいじめの対象になったという例は
いくらでもある。

「同調する」こと「心を閉ざす」ことで
いじめ空間を生き抜いてきた体験。
それはすべての子どもたちが抱えている課題だ。



だから
注意できなければ加害者と同じ、という迫り方は、
いじめを見て心を痛めている子ども心をさらに苦しくする。

やめろ、と注意できなくてもいい。
同調しないことが大切。
そして苦しんでいる人を精神的に支えて。


宮下さんは子どもたちにそう呼びかけた。




nonに当てはまらない、と私が思ってしまったのは、
nonの場合は、「支援してくれる友達」となってくれる友達ができる前に、
いじめが始まってしまったから。
それから、彼女がだんだんに孤立していくまでの間、
彼女はずっと、
「自分がいじめられているのを遠巻きに見ている周りの子たち」を
観察し続けた。


担任が気付くのがもう少し早ければ。
担任があの無能者でなければ。

あの時、もし支援者を先生が探し出して来ても、
おそらくnonが拒否しただろう。
それくらい、nonの「友達」に対する絶望は深かった。


宮下さんの方法は、既に友達がいる場合、
そして、教師に能力がある場合は、とても有効だと思う。

一人、味方になってくれる友達がいれば、
nonは不登校にはならなかった。

それは私がこの2年ずっと思い続けていたことだから。




少し話はそれるが、それを今、妹が証明している。

中学生になった妹は、non以上に正義感の強い、真っ直ぐな子だ。
中学生になってはりきっている、というのもある。

小学校から一緒の、自閉症の子がクラスにいる。
ある日、その子のことを、クラスメイトがからかっていた。

「おい、ガイジ~(障碍児のこと)」(←信じられん!)
「わー、マザコンが伝染る」
(その子のお母さんはもちろん、しょっちゅう学校に来ている。実習に付き添ったりもしている。)

その子が泣いているので理由を聞いた妹は、
からかっていた男子たちに向かって食ってかかったそうだ。
情けない男子たちは、オロオロと、
「こいつが言ったんだよ~」「お前だろ~」となすり合っていたらしい。
妹はその場で、先生に報告した(チクったという)。

その話を私に話すとき、妹は声を震わせていた。
目に涙を浮かべていた。

「よくやった」と褒めながら、
この子はいつかきっと、いじめの標的にされるだろう
という予感が襲ってくる。
実際にその予兆もある。

「大丈夫。私、お姉ちゃんと違うのは、友達いるから」
妹は言う。

そうであってほしい。
友だちは、妹を守ってくれるだろうか。




いじめをなくすには、まず周りの子たちから。
宮下さんの方法、次回、もうひとつ書きます

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