今日の歌はこちら下矢印

 

いきものがかりの「笑ってたいんだ」

 

 

 

 

 

認知症でがんのターミナルのお父さんを

ひとりで介護しているお母さん。

 

時々痛みを訴えるお父さん。

でも、ついさっきのことも忘れています。

 

訪問すると

「朝は痛み止め飲んだんだけど、

 さっき痛いって言うから、

 また飲ませました。

 でも、どのくらい痛いのか

 わからなくて・・・」

「お母さん、お父さんは痛いって言う時

 どんな様子?顔をしかめたりしてる?

 痛い痛いって大騒ぎする?」

「いいえ、痛いって言うだけです。」

 

お父さんはというと

「お父さん、どう?痛いん?」

「いや~ましになったで。

 さっき、少し痛かったけどな」

「お父さん、そんなら起きて

 ひげでも剃ろうよ。

 そのひげじゃ、老けて見えるよ。

 ひげ剃ったら、5歳は若返るからさ。」

「明日、自分で剃るからいいわ。」

「いやいやいや、お父さん、そのひげ

 1週間剃ってないわ。

 忘れないうちにやっとこう。」

「もうええわ・・・」

と言いつつ、しぶしぶ起き上がり

ひげを剃って5歳若返りました。

 

 

 

お父さんは、

認知症のおかげで、痛いとかしんどい

ということを忘れてしまいます。

 

どのくらい痛いのか、

どのくらいしんどいのかを、

表現することが難しい。

なので、推測するしかないのですが、

なかなか難しいわけです。

それでも、お母さんは、

長年連れ添ったお父さんの様子を見て、

必要な時に、痛み止めを飲ませてくれます。

 

帰りがけに、お母さんが玄関先で

「最近寝ていることが多くなりました。

 前は買い物にも行ったのに、最近じゃ

 パジャマから着替えることもなく

 寝ていることが多いんです。」

とお話してくれました。

食べる量も減ってきました。

だんだんと、人生の残り時間が

短くなってきているようです。

 

お母さんは、もう治療が難しい段階で

あることを理解し、治療のための

通院をやめたいと思っています。

 

でも、息子さんは、ここまで治療をしてきたから

今でもお父さんが生きていて、

これからも長生きしてほしいから

治療は続けると言います。

 

本人は、その判断をすることはできません。

 

本当に難しい問題です。

でも、代わりに私たち医療者が

結論を出すことはできません。

 

このご家族が、どのような結論をだすのか。

その結論に合わせて、できるお手伝いを

するだけです。

 

どうか、お父さんが穏やかに過ごせますように。

 

 

笑ってたいんだ

ぼくはずっと

しんじてたいんだ

きみをずっと

 

一歩 つづけるよ 一歩

 

守るんだ

誓うんだ

そう ぼくら

 

誇らしい自由を

みつけて歩き出すよ

 

‘’しあわせ‘’の意味を

生まれいく日々に

なんども紡ぎだすよ