今日の歌はこちら下矢印

 

初めてお会いしたお母さん。

この歌のような人だなあと思いました。

 

 

 

 

初めて訪問し、インターホンを鳴らすと、

お父さん(ご主人)が出迎えてくれました。

 

お父さんも病気をされ、今までお母さんが

介護をされてきました。

 

お部屋のドアを開けると、フローリングの

床の上に横になり、咳込んでいるお母さん。

 

ひっきりなしに咳が出て、会話もままなりません。

まずはお薬を飲んでいただき、

咳が落ち着くのを待ちます。

 

「さっき、お薬飲んだら楽になったの。

 でもめまいがしてきて・・

 吐き気はおさまりました」

 

私とお母さんのやりとりを

見ていたおとうさんが急に、

「だいたい病院の医者がいけないんだ。

 あんないらんこと言うから‼

 患者だからって、全部言う

 必要なんてないんだ‼」

と大きな声を出しました。

 

お父さんにどうしたのか尋ねると、

病院の先生が「いらんこと」を

お母さんに話したから、お母さんの

体調が悪くなったのだと。

「この前まで、庭の手入れもしていたのに

 急にこんなに咳き込むようになって・・・」

なるほど、お父さんはそう思っているんですね。

お父さんも、お母さんの変化に

びっくりしているんでしょうね。

 

お父さんが席をはずした時に

お母さんにきいてみました。

「お父さんは、お母さんの病気のこと

 どれくらい知っているの?」

「たぶん、わかっていないと思う。

 がんってこともわかっていないかも。

 『咳を止めろ』って言われるの。

 私ががんになった時も

 『なんでがんになんてなったんだ‼』って

 怒鳴られたの」

「そうだったの・・・

 それはお母さんつらかったね。

 それでもお父さんの介護して

 今までがんばってきたんですね」

「あの人も病気しているから、

 すっと動けないし忘れちゃうの」

そういいながらも、

お父さんが行動できるように、

上手に指示を出していました。

 

「病院の先生には、肺にがんが広がっていて

 もう手の施しようがないって言われたの。

 でも、そう言われて納得できたの。

 だって、自分の体のことなんだから、

 本当のコト、知っておきたいじゃない?」

 

初めて会った私に、苦しいのにもかかわらず

こんな大切なお話もしてくれました。

 

お母さんも、甘え下手な人なんだろうな。

お話をお聴きしながら、そう思いました。

今まで、すべて自分で決めて、

行動してこられたのだと思います。

 

そして、こんなにも苦しいのに

「あなた、そこ、蚊にかまれてるわよ。

 気をつけてね」ですって。

 

これにはびっくりしました。

こんな人、初めて出逢いました。

この状況で、私の腕の小さな虫刺されに

気がつくなんて、本当に驚きました。

このお母さん、今までどんなふうに

生きてこられたのか、とても気になりました。

 

苦痛な症状が落ち着いて、

眠れるようになりますうように。

 

 

翌朝、様子を見に伺うと、昨日とは

別人かと思うような、素敵な笑顔で

お母さんが玄関まで出てきて

迎えてくださいました。

 

「昨夜は、久しぶりに1時間半

 爆睡できました。

 昨日までとは雲泥の差よ。

 もう少し、咳が落ち着いたら

 お買い物に行きたいの。

 やっぱり自分で見て選びたいから。」

 

「本当はね、お薬は好きじゃないの。

 できれば飲みたくないのよ。」

「でも、飲んで咳が落ち着いた方が

 いいんじゃないですか?」

「それはそうよ。だから飲むわ。」

 

まだまだお薬の調整は必要ですが、

まずは昨日の苦しい状態が

少し楽になってほっとしました。

 

やりたいこと、やらなきゃいけないことが

いろいろとあるお母さん。

お薬と上手にお付き合いして、

やりたいこと、やっていきましょう。

 

疑いながら乗り切れるほど

 

これからの旅は

容易くはないって

 

わかっているから

 

・・・

 

あきらめること

あきらめないこと

 

その狭間で苦しむなら

 

・・・

 

美しいあなたといると

 

人生は美しいって思えるよ