先日行われた、『訪問リハビリを語ろう』の

トークショーの中で、

「医者や看護師は悪者になりがち」

というお話がありました。

 

それは、生活に希望を持たせるリハビリ職に対して、

医師や看護師は時としてバッドニュースを

伝えなければならないから。

 

 

先日、そんな場面がありました。

 

長いこと、抗がん剤の治療を続けてこられた方。

病院の主治医の先生からは

「この薬が最後です」と言われています。

 

前回の治療のあと、今までになく

体調が悪くなり、在宅医療が始まりました。

少しずつ、体調は回復してきましたが、

元のようには戻りません。

 

そのお父さんは、体調不良を抗がん剤の

副反応のせいだと思っています。

でも、どうやらそれだけではなさそうです。

 

病気そのものの進行による症状だと思われます。

 

その症状に対し、病院の先生がお薬を

処方してくださいました。

ところが、それを飲んだら、ますます調子が

悪くなってしまいました。

 

となると、「この薬を飲んだから調子が悪くなった」

と思うのは当然のこと。

「だからこの薬は飲みたくない」とおっしゃいます。

でも、その症状は病気によるもので、

そのお薬は飲んでいた方がいいお薬です。

 

まさに、言いにくいことを伝えなければならない時です。

 

「お父さん、今回の症状はこのお薬のせいじゃないと思う」

「ということは、抗がん剤の副反応か?」

「う~ん、それもあるかもだけど、病気そのもののせいかなと思う」

「そうか・・・」

「だから、このお薬は飲んでいた方がいいと思う。

 そのうえでしんどいことがあれば、それは別のお薬で

 楽になるように調整していきますからね」

「そうか・・・わかった。薬飲むよ」

 

ちょっと強面のお父さん。

こんな話したら、怒って「もう来るな」って

言われるかもな・・・

なんて思ったりもします。

 

でも、やっぱり私たち看護師は

時として、言いにくいこともしっかり

伝えていかないといけない時があるんです。

 

 

この話のあと、お父さんはお茶を飲みながら、

以前は車が好きで、スポーツカーを

乗り回していたという話を

楽しそうにしてくれました。

お母さんと一緒に、海の方へ

おいしい海鮮を食べに行ったりしていたそうです。

 

ちょっとだけ、ホッとしました。

お話していただき、ありがとうございました。

 

 

「最期まで、家で過ごしたい」と言っている

お父さんと、一緒にいるお母さんを

サポートさせてくださいね。

 

 

今日はもうずいぶん前のお気に入りの1曲をおねがい

お父さんのお気に入りだった

白いスポーツカーをイメージしながら。

 

情けないこと

どうしようもないこと

 

受け入れながら

今日があるんだ

 

明日からも

生きていかなくちゃ

 

孤独だけど

ひとりじゃないんだ