☆___________「財界」日本経済を斬る!!! -6ページ目

30周年迎えた東京ディズニーランド 値上げしても集客力高めるテーマパーク







パークの魅力を高めるには先行投資が必要



「お孫さん連れなど、親子3世代のご来場が増えています」(オリエンタルランド=OLC)



開業30周年を迎えた東京ディズニーランド(TDL)。30年という歴史の中で、世代を超えてファンを増やしてきた。開園翌年は1000万人だった入園者数も、2012年度にはTDLと東京ディズニーシー(TDS)合計で過去最高の2750万人を記録。約115億円を投じた「トイ・ストーリー・マニア!」などの新アトラクションの他、参加型パレードも人気を集めている。



長引くデフレの中、11年4月には約5年ぶりにチケット料金を値上げしたが、集客力を高めてきた。リピート率は9割に達しており、消費者はパークの価値向上を認めて来園している形。



OLCの業績が、デフレ下でも伸び続けてきた理由は、毎年数百億円近い大胆な設備投資を行い「いつ来ても新鮮な驚き」を楽しめるテーマパークづくりでリピート客を増やす、という好循環を構築してきたから。こうした経営姿勢は、他のテーマパークにも影響を与えている。



苦戦の続いていたユニバーサル・スタジオ・ジャパンも、12年度の入園者数は前年比100万人増の975万人と好調。



カプコンの大人気ゲーム「モンスターハンター」のイベントや大人気アニメ「ワンピース」のプレミアショーを開催するなど「若い女性とお子様連れのファミリーにターゲットを絞り、各々に即したサービスを提供」(USJ)することで、2年連続で入園者数を増やしている。



14年末には約450億円を投じた大型アトラクション「ハリー・ポッター」もオープン。ゴールドマン・サックスが大株主となり、思い切った投資も行い、攻めの経営に転じている。



長崎のハウステンボスも、エイチ・アイ・エス創業者の澤田秀雄氏が再建を引き受けてから「光の王国」や「100万本のバラ」など、集客強化のイベントを開催し、12年度の入園者数は前年比6・6%増の191万人となっている。



パークの魅力を維持するには投資が必要。その意味でも、体力のないパークは淘汰される時代にもなっている。




経済団体が一斉に 中国訪問を計画

習新体制発足で関係改善への糸口探る



経済団体が、一斉に中国訪問を計画している。日中経済関係は昨年秋に日本政府が沖縄県尖閣諸島を国有化して以来、冷え込んだまま。習新体制発足に祝意を示し、関係改善に向けた糸口を探る狙いがある。



真っ先に行動を起こしたのは日中経済協会(張富士夫会長)。経済人で構成する日中友好7団体の一つで昭和50年から毎年中国に経済使節団を派遣してきたが、尖閣問題で中国内の反日デモが悪化。昨年9月の訪問を延期した経緯がある。



続いて名乗りを上げたのが経団連。5月8日に米倉弘昌会長を団長とする訪中団を派遣し、11日までの滞在中に習主席への表敬を希望している。



経団連は御手洗冨士夫会長時代の一昨年から毎年5月に北京訪問を実施しており、今年も変わらずに実施する方針。だが、過去の実績をみても経団連会長が面談できたのは首相まで。今年の訪中団も「李克強首相に会うことができれば上出来だ」(関係者)と見られている。



微妙な立場なのが日本商工会議所。岡村正会頭が今年10月末に任期切れを迎えることから「最後の岡村ミッション」として昨年秋から北京訪問の準備を進めていた。尖閣問題の改善に向けて意見交換したいと意欲的で、昨年12月上旬には早々と5月下旬の訪中が報道された。



だが、すでに習国家主席に面談した財界人もいる。4月6~8日に中国海南省で開かれたボアオ・アジア・フォーラムの年次総会に出席した面々だ。



アジア版のダボス会議をめざして中国政府の主導で発足した非営利の国際会議だが、今年は習主席が開幕式でスピーチし、特別セッションとして世界の実業家約30人と直接対話を行った。この対話に日本郵船の宮原耕治会長、三菱商事の佐々木幹夫相談役ら日本の財界人数人が出席。彼らは同フォーラムの理事会社として運営や資金面の支援をしていた縁で、経団連会長や日商会頭より先に習主席との面談を果たしたことになる。



ちなみに習主席との面談は安倍晋三首相も模索しているが、具体的なメドはたっていない。中国との関係改善は時間がかかりそうだ。



ニチアスやキリン、TOTOなど、自社ビルから賃貸ビルへの移転相次ぐ

耐震性と防災機能強化を図る



「事業継続性の観点から耐震性や防災機能を重視して移転する企業の動きが増えてきた」(米系事業用不動産会社・シービーアールイー関係者)。東京都心では自社ビルから耐震性や防災機能の高い賃貸ビルに本社を移転させる動きが加速している。



断熱材大手のニチアスは災害に対する備えを強化するため、港区から中央区にある「PMO八重洲通ビル」に移転する。現在のビルは築42年の自社ビルだが、「災害に対する備えを強化する」ため、新耐震基準より強度の高い賃貸ビルに移転する。



キリンホールディングスも渋谷区や中央区など複数の自社ビルに分散していた本社の各部署を統合し、中野区の「中野セントラルパーク」に移転。TOTOも港区や世田谷区にある自社ビルから港区の「汐留ビルディング」に本社を集約させる予定としている。



同区内での移転も多い。中央区で自社ビルを保有するアステラス製薬は隣にある最新の賃貸ビル「日本橋アステラス三井ビルディング」に移転。コニカミノルタホールディングスも千代田区の「丸の内センタービルディング」から同区にある「JPタワー」に移転済みだ。



3・11の震災直後は、耐震・防災強化を求めて、身軽なIT・ベンチャー企業の本社移転が目立っていたが、震災から2年が経ち、大手企業による本社移転の動きが出てきている。



また、住友スリーエムは4月から世田谷区の自社ビル内にある本社機能を横浜市と品川区の賃貸ビルに分散移転する予定。



移転に動く背景に挙げられるのは高度成長期に建設された自社ビルの老朽化だ。社員の安全を確保するという理由からの移転が多い。



加えて、「ビルを保有することが企業のステータスだった時代から、従業員数など規模に対応できる最新の防災機能を持つ賃貸ビルへのニーズが高まっている」(冒頭の関係者)。



3・11は企業の不動産戦略にも影響を与えている。