値上げの明治安田、値下げの第一・朝日 価格対応分かれる生保各社
貯蓄性商品は各社値上げの動き
4月からの「標準利率」引き下げで、生命保険各社の商品戦略に違いが出てきた。
標準利率は、10年国債の利回りを元に決められ、保険商品の運用利回り(予定利率)の目安となっている。標準利率が下がると、各社は保険金支払いに備えるための「責任準備金」を積み増すことが定められており、この原資を確保するためには保険料の値上げも必要になる。
明治安田生命は、「公平性の観点から、広く薄くご負担をいただく」(同社関係者)という方針で、貯蓄性商品を値上げ。
日本生命も「貯蓄性商品は市中金利と連動するので、今無理をすると、後で厳しくなる」(同社関係者)という方針で、商品のうち1割を値上げした。
だが、会社によっては、主力商品を値下げする動きもある。
第一生命も貯蓄性商品の値上げを行っているが、主力商品である「順風ライフ」という定期付き終身保険で20代から30代という若い世代を対象に値下げした。「これから保険に加入されるのは若い世代。月々の保険料の負担は重い」(同社関係者)というのが理由。
逆に高齢世代を対象に値下げするのが朝日生命。同社は介護保険など、シニア層向けの保険に注力しているが、「保険王プラスあんしん介護」という商品で、組み合わせ次第で60歳以上の新規契約者が値下げになる。
生保の業界環境を見ると、料金政策の重要性は増している。ネット生保や損害保険系生保などが台頭し、競争は激しい。さらに、運用の主力である国債は日銀の量的金融緩和で、さらに金利の低下が見込まれている。
これまでの「横並び」ではなく、他社との違いを鮮明にしなければ、競争に勝てない時代になっている。