住友商事・加藤氏が経団連ベトナム委員長に就任した理由
二期目に入った御手洗冨士夫・経団連の中で話題となっている経営者が少なくない。
一人はもちろん自社のトップになったばかりの東京電力社長・清水正孝氏のいきなりの経団連副会長就任である。
そしてまた、住友商事社長の加藤進氏が、同じく経団連の国別委員会の一つである日本ベトナム経済委員会の委員長となったことも目を引いている。
同氏は、現在の会長・岡素之氏の後継トップとして、昨年六月末に就任してまだ一年ほどなので、経団連の委員長ポストは早過ぎるのではないかという見方も一部にあった。
実はこのポストには昨年までは岡氏が就いており、昨年十一月下旬、ベトナムのチェット国家主席初来日の際には加藤氏ともども表敬、あるいは宮中晩餐会への出席など数々の場をこなした。
つまりは同ポストは二代の住商トップが続けての就任、ということになったものだ。
もともとベトナムに強い商社は旧日商岩井(現双日)だったが、特に岡氏が同ポストに就いて以降、鉄鋼、電力、繊維、自動車、物流などの事業で住商のベトナムビジネスは弾みがついた。特にキヤノンを始め、我が国の有力企業が多く進出しているハノイ近郷のタンロン工業団地の成功で、住商の存在感を増した。
一昨年十一月の安倍晋三首相(当時)の訪越ミッションには御手洗経団連会長(キヤノン会長)が同行し、ともに自社工場を視察している。
現在は第二タンロン工業団地も開発中で、経済状況が落ち着けば、また多くの我が国企業の工場進出も期待されている。
加藤氏のベトナム経済委員会委員長就任は、あるいは「ハマリ役」であるのかもしれない。