「白鳥庭園に行きたいんだけど…。」

 そんなところに行きたがる奴ではない。

 「何で?」

 電話の向こうの奴に訊いた。

 「かき氷と冷やしおでんがあるんだよー!」

 「こんなに暑いのに、外なんか歩けないよ。」

 僕は応えた。

 「暑いから、かき氷たべに行くんじゃん!」

 そして、奴は僕を迎えに来て、

僕を炎天下の白鳥庭園に連れていった。

 僕は障害者だから

介添人(奴)との二人は

入園料と駐車代は無料になる。

 入口から園内の茶店までの通路も

くらくらするほどの暑さだった。

 館内は、

かき氷を食べるような気分にはならない程に

冷房が利いていた。

 最初に〔冷やしおでん〕を食べた。

 夏に冷たいおでんだなんて、

風流だねぇ。


 続けて〔かき氷〕は食べれない。

 一度、外に出て、

奴は写真を撮り、

少し体を温めてから再入店。

 〔御岳何とか〕と名付けられた

宇治金時を

一つだけ頼んで

分け合って食べた。

 これが食べたくて

こんな所まで来るなんて

奴も根性あるよなぁ。

 駐車場に戻った時、車に付いている温度計の、

外気温は46℃になっていた。