今日はサバトラのお話。

サバトラは青毛に黒のトラ模様が入ったトラ猫で、

日本に外国の猫が多く入ってくるようになった戦後に

多く見られるようになったらしい。

キジトラの色違いと言ってもよく、

見た目は茶毛に黒のタビーか、青毛に黒のタビーかの違いだけである。

 

↓サバトラのアクア。青毛に黒のマッカレルタビー。

 

サバトラの”サバ”は文字通り”魚のサバ”のことである。

青味がかった毛色が魚のサバの体色に似ていることからこう呼ばれるようになった。

 

↓左衛門佐が浜名湖で釣ってきたサバ。この魚の体色に似ていることからサバトラと呼ばれるようになった。

 

 

雑種猫は純血種のようにその呼び方に明確な決まりがあるわけではないが、

サバトラの”サバ”が魚のサバの意である以上、

青毛でないトラ猫をサバトラと呼ぶのは左衛門佐は適切でないと思う。

英語だとシルバー・マッカレルタビー。

ちなみにマッカレルはやはり”サバ”の意味なので

サバトラは英語でも日本語でも”魚のサバ”の意味が込められた猫ということになる。

 

 

先ほども書いたように見た目はキジトラの色違いだが、

見た目の印象はかなり違う。

サバトラは見た目が金属的というかメタリックな感じなので

いかにも動物的な色合いのキジトラよりもクールな印象である。

 

↓キジトラのこざる(左)とサバトラのアクア(右)。ただの色違いでも見た目の印象はかなり違う。

↓こちらはシロトラのだるま(左)とサバトラのアクア(右)。ベースが白単色のシロトラと違いサバトラは青毛のグラデーション。

↓青味がかった金属的な色合いのサバトラのアクア。(右)

シロトラのだるま(上)やシャムMIXの雪晶(左)との色の違いは明確だ。

青毛のグラデーションがとてもカッコ良いサバトラ。

お腹にいくに従って毛色がシルバーになる。

 

サバトラの中には毛色の青味が薄くなり、銀毛化する個体がごく稀に出現する。

そうした個体は野良猫の様々な毛色の中でもずば抜けて美しく、

まさに”シルバーマッカレルタビー”の名に相応しい毛色となる。

そうした銀毛のサバトラの中からさらにごくごく稀に毛色の青味と金属感が全て抜けてしまい、

完全にベースの毛色が白色化した個体が現れる。

”白毛に黒のトラ模様”が入ったそうした個体は”シロトラ”と呼ばれる。

 

サバトラの性格は警戒心が特別強く、臆病で怖がりである。

近年では茶トラのような人懐っこい性格の個体も増えているというが、

我が家のアクアは完全に典型的な臆病怖がりタイプだ。

アクアには同腹の姉妹にキジトラのこざるとシロトラのだるまがいるのだが、

昨年の歳の暮れ、この3匹の明確な性格の違いを表した出来事があった。

我が家には以前、左衛門佐がシアタールームとして使っていたロフトがあり、

今はにゃんこ達専用の遊び場・くつろぎ場になっているのだが

普段は掃除の時以外、まず人が来ることが無い場所である。

 

年末、ちょっとした探し物があった左衛門佐は

ロフトに上がり、物置を開けて物探しを始めようとしたのだが

その気配を察し、すぐにこざる、アクア、だるまのチビトラ3姉妹が飛んできた。

この時その3匹のとった行動がキジトラ、サバトラ、白トラの性格を

まさに如実に現わしていてとても面白かった。

 

まずは白トラのだるま。

だるまは何をしたのかというと、

左衛門佐が物置の扉を開けた瞬間、中に突撃した。www

シロトラは怖いもの知らずで無鉄砲、その白い毛色のように

好奇心旺盛で疑うことを知らないほど純粋無垢な天真爛漫ちゃんなので

初めて見る物置の奥がどうなっているのか好奇心のままに、

危険かどうかも考えることなく左衛門佐の制止も聞かずに突撃したのだ。

本当に怖いもの知らずで好奇心旺盛な白トラならではの行動だ。(笑)

 

それに対し、キジトラのこざる。

こざるは何をしたのかというと、左衛門佐の横にちょこんと座り、

じっと左衛門佐の一挙手一投足を観察しだした。

そう、3匹の中で最も知性の高いキジトラのこざるは

物置の中がどうなっているかよりも普段はほとんど人の来ないこの場所に、

 

”左衛門佐が一体何をしに来たのか?”に興味を抱いたのだ。

このこざるの行動はコミュ能力に優れ、

また人間や飼い主に対する洞察力にも優れた、

キジトラならではの行動だと言える。

 

そして、最後にサバトラのアクア。

はたしてアクアはどんな行動をとったのだろうか?

勘の良い猫好きさんにはもうわかっただろうが、

そう、臆病なアクアはその場から ”逃げた” のだ。

臆病で怖がりな性格のアクアは普段人の来ないこの場所に

左衛門佐が来たことに好奇心を抱きつつも、

次から次へと物置から物を取り出す左衛門佐を見て

いつもと違うただならぬ気配を感じ、怖くなって逃げた。

これは、”変化を望まない” 臆病なサバトラの性格をよく表した行動だと思う。

 

↓仲の良いキジトラ、サバトラ、白トラの3姉妹。

しかしその性格は毛色と同じぐらい全く違う。

 

アクア達3姉妹を保護したのはまだ手乗りサイズ、

300gほどの小さな幼猫の頃だったのだが、

家猫になってすぐに人間にも環境にも順応したこざるとだるまに比べ、

アクアは人にも環境にも慣れるのに最も時間がかかった。

ほぼ同時に保護した3匹の中でもアクアは最も健康状態が悪く、

痩せて大量のノミが付き、既に弱りかけていたせいもあるのだが

環境に馴染むのに時間がかかったのは決してそのせいだけではないと思う。

 

同じようなケースは他にもある。

我が家には窓辺に左衛門佐がDIYで作ったキャットウォークがあり、

日当たりの良い場所なので猫たちにとても人気がある。

しかし、このキャットウォークに行くにはリビング中央の螺旋階段から

ジャンプして飛ばなければ行くことが出来ない。

 

↓窓辺のキャットウォークから見下ろす雪晶、ルナ、こざる。

 

しかしこの距離は大した距離ではないので

我が家で最も運動音痴なアビシニアンのネイでも余裕で飛べる距離だ。

だが、アクアだけは未だにただの一度もこの場所へ飛んだことが無い。

今まで我が家に来た11匹の猫のうち、

ここへ飛んでいないのはアクア1匹だけである。

怖いもの知らずの白トラのだるまは

大人の猫たちが次々にこのキャットウォークへ飛ぶのを見て

無謀にもまだ幼い仔猫のときにここへ飛ぼうとジャンプし、距離が足らずに落ちた。

(落下防止の網とクッションが設置してあるので怪我はしなかった)

 

3姉妹の中ではもっとも運動能力の低いアクアだが、

それでも飛ぼうと思えば十分に飛べるはず。

でも、”出来るかどうかわからないことはしない主義。”

それがサバトラのアクアの性格なのである。

 

他にも庭に設置したニャングルジムへ出るのに最も時間が掛かったりと、

これも決して知能が低くてキャットドアの使い方がわからなかったのではなく、

未知の知らない庭へ出ることが怖かっただけなのである。

臆病で怖がりなアクアでも外の空気が味わえるニャングルジムが大好きなのだが、

しかし窓が開いていていつでもリビングとニャングルジムを

自由に行き来できる状態でないと安心して遊ぶことが出来ない。

冬は寒いので猫が行き来するときだけ窓を開けて

通常は閉めておきたいのだが、

(猫が入りたいときはドアをカチャンカチャンと合図する)

アクアだけは窓が閉まった瞬間、網戸に飛びついて狂ったように泣き叫ぶ。

窓を開けると凄い勢いで部屋の中に飛び込んでくる。

本当に臆病で怖がりなのである。

 

↓キャットドアをくぐるアクア。

 

なのでサバトラはキジトラ以上に飼い主を選ぶのかな・・・と思いつつも、

逆に猫に構い過ぎず、一定の距離を置く飼い主の方がいいのかなと思ったりもする。

ただ、引っ越しが多くてコロコロ環境が変わったり、

ましてや飼い主が変わったりするのはサバトラにとって尋常ではないストレスになるはず。

なのでサバトラを飼うのであれば安定した環境で飼ってあげて欲しいなと思う。

アクアはだるまやこざるのようにベッタリの甘えん坊ではないが、

それでも大好きなブラッシングをねだったり、

自分の好きなことをハッキリと意志で表す猫だ。

大人しい性格だが負けん気と根性は強く、

じゃれ合いがエスカレートした小競り合いでも、

自分が勝つまで根気よく続けるので最後には

運動能力に優れたこざるやだるまの方が逃げ出す結果になる。

サバトラは一歩後ろから猫をじっくり観察したい飼い主にピッタリの猫なのかもしれない。