中小企業の財務の基本のき | 営業改革コンサルトの活動日誌!

中小企業の財務の基本のき



私は営業コンサルタントですが、クライアントに売上の拡大を担保しません。

確かに「売上2倍にします!」などというと聞こえが良い(笑)

そうした能力を喧伝するのが一般の営業コンサルタントかもしれません。

しかし、売上急拡大のリスクをどう考えているのか。


それは営業部門の感覚でしかない。経営的な視点で営業を考えねば下手をすれば会社は倒産しかねない。





ではどうするか?

私はBSの健全性を伴いながらの事業発展を目指すべきと考えています。

売上急拡大による、固定費の急増、借入の急増といったリスクは本当に恐ろしい。

シャープについても、営業戦略が間違っていたとは思っていません。結果論では確かにそう見えますが、もっともらしいことを言っている評論家たちは、あの時点で今の状況を予測できたのか?


経営として大事なのはそこではなく。5000億円もの設備投資を、どうやって調達したのか、である。

もちろんいざという時に、大きな投資をして攻めに出ることも必要かもしれない。しかしそれは、経営的に見れば博打である。

その仕事が未来永劫、順調に続く保証などどこにもない。









さておきBSの健全性を保つには、自己資金を厚くすること。


その方法は、二つしかない。



資本金を増やす。

余剰金を増やす。





ちなみに自己資金の比率は50%は欲しい。100%が理想だが、しかしそれは現実的ではない。資金運用的には非効率になりかねない。現実的には50%前後といったところか。ここでいう自己資金とは、「返す必要のないお金」のこと。社長からの貸付金などもその部類に入る。


では自己資金を増やすために何をやるべきか?

まずは社長が報酬をたくさん得ること。


それで贅沢をしろと言っているのではない。

いざというときのために、社長が会社の資金を個人でプールしておくということ。それで出資したり、預り金や長期借入金などで会社にお金を入れるのだ。

社長は徹底的に節約して、資金を貯めておくのだ。

それが社長のやるべき大事な仕事。


もちろん多額の報酬は、社員からのやっかみもあるだろう。しかしそんなことは幾ら説明しても理解されるものではない。そこは割り切るしかない。「社長は守銭奴」と誤解されるくらいでちょうどいい。


社長の報酬を増やす次にやることは、税金を払って余剰金を積み増すこと。

不要なものを買わないまでも、せっかくだからとちょっと高いものを買う。まだ使えるのに社用車やパソコンを買い替える。ちょっとタクシーで移動しよう。その甘さが、危ない。

その行為は、会社のタガを緩める。

そういう買い物に対して社員はとても敏感で、「あ、会社は余裕があるんだな」と確実に肌で感じる。それが怖いのだ。

しかし、税金でもっていかれること嫌がる経営者は極めて多いが、ここは考えを改めてほしい。

ちなみにライブドアも当時、経費として湯水のように使っていたらしい。









BSを改善していこうとすれば、売上の拡大を一義的に目指す必要はなくなる。

利益率の低い仕事を無理に取ったり、無理な価格競争をしないようにする。

本当に価値を理解してくれるパートナーと言える顧客と付き合おうとする。

支払いが綺麗でない顧客とはできるだけ縁を切っていく。



そうすることで、経営の質を変えていく。



しかしそのためには、そのような顧客を新たに開拓していかねばならなくなる。



ちなみに私はそこをお手伝いしているのだ。売上拡大を担保しないとはそういう意味においてである。