さよなら伝説のソニー &さよなら僕らのソニー
この週末、「さよなら! 僕らのソニー」 著:立石泰則 文春新書
を読んだところなのですが、今週の週刊ダイヤモンドの特集も、
同じテーマです。
まず、この書籍の著者は最後に、
世界企業となり、グローバル経営を進めざるを得ない中では、
これまでの【ソニーらしさ】が復活できないのはやむを得ないという
論旨を書かれていましたが、
それは違うと思います。(注:本の内容はとても面白いですよ!)
確かにそれは難しいことだとは思いますが、
現に、ぐるーばる企業であるアップルが、
(というか厳密に言えばスティーブジョブズが)、
一昔前の【ソニーらしさ】を体現しています。
わくわくするような製品の開発。
インパクトのあるプレゼンテーション(あるいはコマーシャル)。
・・・ところで私は主に中小企業のメーカーさんでの営業強化の
お手伝いをしているわけですが、一昔前は、新しい技術を開発すると、
「とりあえず直接、SONYへ持っていきましょう!」と言ったものです。
その当時のSONYは、実績がどうとか、他社が採用しているかどうか
とか、そういうことはお構いなしに、新しい技術をきちんと評価して、
良ければ、どんどん採用してくれていたからです。
つまり、いろいろな企業が喜んで新技術を最初に持ち込むのがSONY。
当然、製品の独自性も高まりますよね。
当時は、まず、この時点でSONYは他社を技術的にリードしていたのです。
しかし、そういう中小企業の新技術は、完成度が高いわけでは
ないので、実際に製品に使用するためには、一緒になって、
データを取ったり、周辺技術を整えたり、かなり手間がかかります。
だから、一般的には、「実績は?」と訊いた方が、楽なのです。
確かにそうしたほうが、経営的に見れば、かなり効率が良い。
でも、それで失うものは、少なくありません。
今、私が関わらせていただいている中小メーカーさんの新技術に対し、
素早く反応してくれるのは、ほとんどが海外メーカーです。
情報収集に熱心な会社は、日本にそのための部門を設置しています。
そして可能性があるとみるや、役員クラスの方まで話を聞きに来てくれます。
こちらにさしたる実績がなくても、です。
その嗅覚、身軽さ、スピード。
ところで、今、私が営業戦略的に、重視していることの一つは、
「どの顧客と付き合うか」
メーカーであれば、その最大の基準は、
「メーカー・マインドをきちんと持っているかどうか?」です。
この際、企業規模とか、どこの国の企業かは、二の次です。
そのマインドがない企業には、こちらからはアプローチしません。
(その基準に照らして調べてみると、日本企業の中にもきちんと
存在していますし、そういう企業の業績は堅調なところが多いようです)
・・・話をソニーに戻します。
ソニーのCEO ストリンガーさんは、発言を聞いている限り、
メーカー・マインドを持っていません。
それに未だに、本社所在地にCEOの住所がない(NY住まい)というのは、
驚くばかりです。
現時点では、かなり厳しい状況に見えます。
しかし諸行無常。アップル社もこの先どうなるかは、わかりません。
そしてチャンスは、いつでもあります。
ソニーの、メーカーとしての復活を望んでいます。