◆自社の強みを鮮明にする顧客調査方法(続き)
先日の記事に続いて。
具体的に大事なノウハウをひとつ開示しましょう。
調査項目の中には、段階的な評価を聞きたいものがあります。
(「ややそう思う」とかってやつですね)
特に、心理的な評価を聞きたい場合は、
リッカートの5段階尺度 を用いるのが一般的です。
(質問表の設計をなんとなくやってしまっていた方は、
ネットなどでこの用語を調べてみてください)
↓たとえばこんな質問の仕方です。
問:あなたは、○○社のことをスピード感のある会社だと思いますか?
1.全くその通り
2.まあその通り
3.どちらともいえない
4.やや違う
5.全く違う
さて本題はここからです。
これを顧客に質問した集計結果を皆さんはどう処理しますか?
「何%の顧客が、どう答えた」とか、一般的にはそうした分析をします。
そして、悪い回答結果に関心が向きがちです。
でもちょっと待ってください。これは
自社の強みを鮮明にしたいがための調査です。
であるならば、
ここで把握すべきは、
「全くその通り」にどれだけの回答があったか。
です。
回答者は極端な選択肢を避けようとする傾向があり、
やはりこうした調査の際にも、「まあその通り」くらいを選ぶ人が多いわけです。
しかし、「まあその通り」とたとえ80%の顧客に回答いただいたとしても、
それは 鮮明な差別化にはなりません。
確かに「良い会社」ではありますが、所詮、ほどほどの会社。
圧倒的な強みとはまで認識されていないということです。
恋愛に例えるなら、「良い人」なだけでは、あまり魅力がないのと同じです。
故に、
「全くその通り」にどれだけの回答があったか?
しか見ないわけです。
そしてさらには、
なぜそう答えたのか?そこを掘り下げて聞いていきます。
シンプルですが、ここに極まれり。
ただし、ここに至るまでには、相関係数を算出して考察したり、いろいろ、
”それらしい”分析をやったりもしました。
そうするとずいぶんとクレバーでかっこいい感じになります。
そうなると報告書は分厚くなるし、”もっともらしい”
いかにも大企業が好みそうなレポート出来上がります。
でも、だから何なの?
なわけです。
統計学は、”数字のお遊び”に陥りやすい傾向があるので注意せねばなりません。
(注:統計学が無益だと言っているわけではありません。)
ところで。
この分析をやると、中には「強みがない」という会社も、もちろん出てきます。
でもご安心下さい。
「まあその通り」との答えの中にも、きちんと掘り下げて聞いていくと、
「もっと磨けば強みになりうる」ものが見えてきます。
ここでしっかりと問答を繰り返して、「答え」を見出す聞き取りの力を
持っていることがとても大事になります。