◆事実は変えられないが、それでも人生は変えられる
事実よりも大事なもの。
それは、事実の受け止め方。
これを心理学の見地では、アルバート=エリスの論理療法がうまく説明してくれます。
彼曰く、
感情や行動の障害を引き起こす原因のほとんどは、
出来事(事実)ではなく、非合理的な信条である。
と。
彼は、これを、ABC理論という分かりやすいモデルで説明してくれます。
出来事(Activating event)に対し、
それぞれの人の信条(Belief)・・・考え方・思考回路・プログラム・思想
によって、いろいろな受け止め方がなされ、
その結果として、ひとそれぞれの、感情・行動(Consequence)が生じてくる。
というものです。
そして我々は、『非合理的信条』
「~であるのが当然だ」
「~でなければならない」
「~であるはずがない」
といったものを、知らないうちにたくさん抱えてしまっています。
たとえば、「電車の中では、静かにすべきだ。静かにするのが当然だ。」
という強力な信条を持っている場合、よその子がちょっとはしゃいだだけで、
ものすごい勢いで怒ったりする。
そうでなくて、
「電車の中ではできるだけ静かにした方が良いが、なかなかそうは出来ない人もいる。」
「何か特別な事情があるかもしれない。」
と、その信条の部分を、書き換えてみるんです。
そのためのキーワードは、
「~の方が良い」
「~かもしれない」
「~に越したことはない」
こんな感じでしょうか?
このようにBの部分を書き換える癖をつけると、
物事に対して、とても柔軟に、しなやかに対処できるようになってきます。
出来事、事実そのものは何も変わらなくても、
結果(あなたの行動や感情)を変えられるのです。
たとえば、Bの部分を書き換えると、
ゴキブリ→怖い! を ゴキブリ→おいしそう! に書き換えることも可能なのです。
まあ、やろうとする人はいないでしょうけど(笑)。
アルバート=エリスがこんなことを言ってます。
「できるなら立派にやりたい。
できるなら愛されたい。
できるなら生活は満足できるものであって欲しい。
しかし、もし私の思い通りにならなかったとしても、
それはとても残念ではあるが、この世の終わりというわけではない。」
こういう言葉を聞くと、仏教の高僧が言わんとしていることと、有用な心理学は
本質的に似ていることが理解できます。
ここまで、事実よりも大事なもの。ということでお話を進めてきましたが、
非常に厳しい売上、片腕だった社員の離脱、取引先の倒産・・・
我々を襲ってくる様々な出来事。
抗いようのない出来事。
でも、それを自分がどう受け止めるのか。
それで、その後が、全く違ってきます。
とても大事なことなので、また機会があれば別の視点からも書いてみたいと思います。