アーティストに必要な性格分析スキル
高橋真梨子さんの大ヒット曲 『For You』・・・
あな~たがほし~い~♪ というヤツですね。
・・・実は私、彼女の歌があまり好きではありません。
なぜかというと、声がパーンと前に出て、とても力強く・・・は良いのです
が、細やかな情感をなかなか表現できていないので。
この曲も、歌の主人公は“力強い女性”になっちゃっていますが、
シャンソン風に、とつとつと、つぶやくように歌うと、
もっと歌詞の内容が深くなり、際立ってきます。
(ただしそれでヒットするかは別ですよ)
嘘だと思うならカラオケで是非挑戦してみてください^^
(※歌詞の内容は著作権の関係もありここでは掲載致しません)
そして、とつとつ歌ってみると、高橋真梨子さんが歌っている場合の女性
(歌詞の主人公)とは、かなり性格が違ってくるのが分かると思います。
歌でも、あるいは演劇などでも同じだと思いますが、その「役」について、
きちんとその性格を捉えること、性格の設定を明確化すること
これは極めて重要なことだと思います。
自分の得意なパターンに押し込むのではなく、その役を深く理解・表現すること
ちなみに映画とかは映像という抽象的なものを皆が共通理解するために、
絵コンテを描きます。
黒澤監督はかなり克明に描き、妥協を許しませんでした。
なのになぜ配役の性格(これも抽象的なのに)に関しては、絵コンテのような
「道具」がないのでしょうか?
そういう話を以前、某女優さんにしたこともあったのですが、どうもピンと来
ておられなかったようです・・・^^
それはさておき、では、どうやってその役の性格をきちんと捉えるのか?
こういうときに、エゴグラム(東大式エゴグラムⅡ) が役に立ちます。
これを用いて、
「その役の人だったら、この質問にどう答えるだろうか?」という視点で、
“その人に成り代わって”53の設問に答えてみてください。
すると、あなたが考えているその役の性格が、グラフになり客観化されて出てきます。
(映画や演劇なら監督や脚本家にやってもらい、共有化すべきでしょうね)
さて、話は高橋真梨子さんの歌に戻します。
実際に歌い手(歌い方)によって、全然、歌の内容が違ってしまうケースをご紹介しましょう。
サイモンとガーファンクルの、目立たない方、ガーファンクルさんのソロアルバム、「レフティ」の中のカヴァー曲、「男が女を愛する時」。
皆さんご存知かと思います。オリジナルでは、情熱的に、感情的に、男の熱さを歌い上げています。
それが彼が歌うと不思議なことに歌詞は同じはずなのに、全く意味が違って聞こえてきます。(サイモンとガーファンクルっぽい曲を思い出してみてください。あの微妙な不安定感・・・)
参考までに
(訳詞:by 鬼頭秀彰 ・・・なぜなら著作権が^^;)
男が女を愛するとき
他のことに気を留めていられない
男は彼女と、この世界を引き換えにさえしかねない
彼女が悪くても、彼にはわからない。
彼女は何も悪くない。
もし親友が彼女を悪くいえば、
親友にだって背を向ける
男が女を愛するとき
なけなしの金を使ってでも
彼女を放さない
すべてのものを捨てて
雨の中で寝るかもしれない
もし彼女がそうしろと言うのなら
この男はある女を愛している。
私の全ては君に。そう、かけがえのない君の愛を受けるために。
ああ、お願いだから冷たくしないでおくれ。
(後略)
が浮き彫りになってきます。
これを弱々しく歌うと、もはや男の情熱などではなく、男の馬鹿さ加減、悲惨さ
が目立ってきます^^
歌い方ひとつで、これだけ変わってしまうんです。
う~ん、奥深い。