自宅へ向かう車中、ふと不思議な点に気が付いた。
サトシは開かないデータと説明していたが、タカシマの話を聞く限り、データの内容は大口解約のリストで、該当者も分かっていた。何が開かなかったのだろう。何か別のデータなのだろうか。早くデータを開いて、確認しなければならない。

追われているかもしれない緊張感で、手は大きく震えていた。
自宅に着いた私は、マイカに事情を説明し、ショウタと共に書斎に入った。
「じゃあ、どうすれば。」何も見えない真っ暗な闇に、立ち尽くしてる気分だ。
「俺これから、タケウチ次官に会いに行ってくる。」タカシマはそう言うと席をたった。
私は、何も言えなかった。今、唯一の糸口を掴んでいるタカシマに任せるのが得策だと思った。

私はタカシマを見送り、ショウタと落ち合った。

「サトシのニュース何かやってたか。」まず私からショウタに尋ねた。
「いや、ただ容疑者が自殺しただけっていう扱いだ。どうなってるんだ。」特に報道されないのは、当然だ。マスコミは、知ってても知らなくても、そうするだろう。
私は、ショウタにタカシマの話したことを説明した。
そしてとりあえず、私の自宅へ行き、サトシのデータを確認する事にした。
「ユウスケ、サトシのデータはどうするつもりなんだ。」
「お前、まだ目が覚めないのか。サトシは死んだんだぞ。」タカシマは友達を失ってもまだ、タケウチの指示に従おうというのだろうか。そこまで官僚組織にドップリつかっているのか。

「ちがう、そうじゃない。これは友達としての意見だ。アレは危険だ。敵に回す人間が多すぎる。それに、既にあらゆるところに手が回ってる。」タカシマの言う通りだ。サトシが逮捕されたのが、その証拠だ。データをもって、どこの警察に行っても、検察行っても、捕まるのは俺の方だ。

「マスコミは。ニュース番組やワイドショーが飛び付くだろ。」このまま、何も出来ずに握り潰されてたまるか。
「多分テレビもダメだ。総務省の連中が動く。NNHも民放も財務省の天下りが居る。」タカシマの言う通りだ。そんなに簡単じゃない。