半衿のこと | キモノヰロハ。〜雨ふって、地ゆるゆる〜

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朱欒(ザボン)です。
着物についての独り言、戯言をこれでもかと書き綴る為の備忘録的な。

京都伏見の伏見稲荷大社から徒歩15分
美容室 HairstudioAcha 2F
着付、きものレンタル朱欒《zabonn》

以前に、
半衿についてまた改めて記事に…
とかなんとか書いた記憶があります。

思い出したので、書く。


半衿は、お洒落を愉しむポイントであり
個性や遊びを演出するアクセントになります。
少ししか見えないながらも
見せる面積や、柄の位置などを自分好みに
コーディネートして愉しむアイテム。


そして、格を表す要素でもあります。
格を表すというか、
格が高いほど、「存在感を消す」のです。

(いつもながら、
飽くまでもわたしの自論
としてお読みくださいね)



ここが、着物の醍醐味と言いますか
震える点です(いい意味で)。



洋服であれば
いつもより着飾るのが
フォーマルではないでしょうか?
もちろんシンプルなものを
好まれることもあるでしょうが、
普段より多めにアクセサリーをつけたり
普段より豪華なものを着たり
そんな風に選ぶことが多いのではないかと
そういう基準で考えた時、
着物の場合はまさに真逆をいくのです。

質が良く上等なものを、という点は
洋も和も同じですが、

着物は
質の良い上等なものを
最低限の演出で召す。

これが震えて止まない点ですw
プルプルしますね…

着飾らない、のです。
ただただ、「美しく着物を纏う」のです。

この「美しさ」とは、
顔映りがよく、年相応、TPOが適切
体型を最善に見せる着付け
召した人の所作

これを言います。



ぇ?…半衿の話でしょ??
て思われたかもしれませんが、


このフォーマルの話で
半衿の存在感が無に感じませんでしたか?


礼装(フォーマル)では、
半衿は白です。


たまに色味、柄等のあるお洒落な半衿をつけたい
ということを言われることもありますが、


節目の行事
式典

などは、白がマナーだと思ってください。


家族で写真館で撮影するような
節目の行事
ホテル等での結婚式、新年会
各種格のあるパーティーなど

これらは基本、白です。

無地の白が基本。



その中で
金糸、銀糸、白糸での刺繍
白地の地模様(慶柄)
の施しがある白半衿でもOKな場合もあります。
基本の白に変わりはありません。






色柄のものは不適切です。



例外として、

七五三
成人式
婚礼衣装

これらは礼装ですが、
華やかな半衿をつけてもOKで、
むしろ白だと寂しくなるので
刺繍などを豪華にあしらったものを
つける場合が多いですが、多様です。
(白地、白糸などの刺繍の
落ち着いたものでももちろん良いのです)












ある程度の格のある着物
例えば

ひとつ紋の色無地
お召
付け下げ
上等の染めの小紋

などは、普段のお出掛け〜セミフォーマル
でもOKですので
お出掛け内容によっては
真っ白な半衿でなくともいいわけです。







そうとはいえ、
あまりにトンチンカンな色柄過ぎたり
お洒落な手拭いを半衿替わりに、
などは素材の格と合わないという点で
わたしはつけません。


これらの着物は生地の質が高い為
半衿の雰囲気も色柄とは言え
上品なものがふさわしいです。









色糸の刺繍や
落ち着いた、柔らかな印象などの柄
色のある地模様、ワンポイントもの
季節やイベントになぞらったもの、
などで愉しむのも良しです。




高級紬はこれに限らず、
少し強めの色柄でもOKですね。

紬は高級な大島や結城など
セミフォーマルでも着れるものもありますが、
基本は普段着です。
紬の種類によって
部屋着〜お洒落なよそ行き
という感じで用途の幅が広いです。


色味の強いもの
柄の個性的なもの
手拭い、ハギレ

などは、カジュアルな小紋、紬やウールなどの
普段着に使うのがオススメです。
普段着であればあるほど
自由度が増し、トンチンカン、派手、
なんでもありです。個性です。


一例ですが、
これはハギレです↓

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ウールに
{78137C53-6341-4CAB-BF06-121497879965}

アンティーク小紋に
{30A2BDB7-F175-4304-99B0-5A382A9452CB}




こちらもハギレ↓
{445B8FAE-F332-4593-BC7D-19D2FFF38001}


小紋に
{ACE83862-DE61-4A6C-BF71-4B59DFCFAF48}


小紋に
{B13B6CBA-B519-4BDE-8601-3F406787B61E}


紅型小紋に
{18280A97-E852-4C99-9D77-9302B124D9B7}


白大島に(普段のお出かけ)
{A88CB35B-F4BE-4E7B-AA38-55EBE81E25D1}



こちらは手拭い作家の方の手拭い
白大島の普段のお出かけ↓
{EAD6F382-86CB-4EA5-9CB1-21884295EFF4}


荒くてごめんなさい
ハギレの半衿
アンティーク小紋に
{D44E644C-8585-405E-B37B-895FE05F21AC}






せっかくなので、
半衿の見える面積をやや広めに取るなど
衿の個性に合わせて見せ方を工夫して
着付けるといいですね。

高級紬の場合は
場の格に合わせて衿も選択します。
フォーマルの要素があれば
白地のものが適切でしょう。



普段でも礼装でも
白い半衿はすべての場合に使うことが出来ます。



白以外の半衿を使う場合は
その半衿のデザインで使用度が制限されます。



仮に、子どもの七五三で
母親が着物を着るとします。
その時、着物は礼装ですね。
訪問着か付け下げか色無地か…
上等な小紋に袋帯でもセーフでしょう。

いづれにせよ、半衿は当然 白(白地)です。

主役はお子様であり、
親はあくまで見守る存在。
きちんと礼装を纏い、
晴れの日を迎えた主役を際立たせるのが役目


もし、半衿で色柄のものをつけていたら
母親の半衿に視線が行ってしまいます。
写真を撮ると尚更です…

見た人が
半衿のことをよくわからなかったとしても
写真を見て、違和感を感じてしまいます。

モーニングの下に
チェックの綿シャツを着てるようなものです。

え??て二度見しますよねw
燕尾服だぜ?て驚愕しますよね?
そんな感じです…



そのくらい、半衿の挿し色はインパクトを
与えてしまうので、全体像が偏るのです。



最初の話に戻しますが、

これが、「存在感を消す」という回答です。


礼装では
無くてはならない要であり、
限りなくその存在を消す、



カジュアルでは
これでもか!!と存在誇示し、
その半衿素敵!って
半衿に視線を集めるくらい
輝き放ってもいい。



相反するような役目を半衿は持っています。


主役を際立たせる黒子か
主役以上に個性を放つ名脇役か


そんな風に捉えてもいいかもしれません。
余計わからんわ!
て思われたらすみませんw


半衿の加減って、
難しいといえばそうなのですが、、

普段は自由に個性を出して、
金銀糸の刺繍以外であれば自由に。



お出掛け→少し良い席→とても良い席
→格式のある席
格の段階が上がるにつれて
刺繍〜地模様〜無地の白へという順に
存在が薄まっていく、という感じです。

既婚者は黒留袖
未婚既婚者共に 五つ紋の色留袖が
女性の第一礼装です。

留袖でも白地の刺繍や地模様の半衿を
使われることもあるようですが、
わたしは第一礼装は無地の白が最善と
考えます。

それも真っ白。

留袖用にご準備頂いた長襦袢で
たまに、生成りのような黄味のある
半衿がついていることがあります。
長期にしまわれて、変色したのか
クリーム色の地色なのか…

間に合う場合は
真っ白なものに縫い替えます。

黄味のある白と
真っ白とは
全然違うからです。



半衿の 白 には
着物の格が凝縮されている。


そうわたしは思えて仕方がないのです。







お読みくださり、ありがとうございます。
おつかれさまでした(。-_-。)