歴史は繰り返す?
 
カシンです。これは、アタシ(50代・男)が、思いつくまま書くブログです。
 
前回は、藤井青銅著『国会話法の正体』という新刊本を紹介しました。この「国会話法」みたいなゴマカシは、おそらく人類が言語を使うようになった当初からあって。何とかしたい、と思った人も、過去、無数にいたはずです。
 
アタシ自身は、この「大したことを言っているように見せかけて、実は何も言ってない」という手法を初めて意識したのは。小学生のときに読んだ SF 小説でした。
 
アシモフ の『銀河帝国の興亡』(1951年) です。銀河辺境の都市「ファウンデーション」が周囲から軍事的脅威にさらされます。銀河帝国中央からの外交官に窮状を訴えて、救援の約束を取り付けますが…。以下、岡部宏之訳 (1984年、早川書房) からの抜粋。
 
「ほら、記号論理学という分野があるでしょう。あれは人間の言語に群生しているあらゆる種類の邪魔な枯れ枝を刈り取るのに使われます。それを適用したのですよ。」
 
「ホルクが二日間懸命に努力して、無意味な発言、曖昧なおしゃべり、無用な条件付けの除去に成功してみると、結局あとには何も残らなかったのです。」
 
「諸君、ドーウィン卿は五日間話合いをしたあげく、何ひとつ話さなかったのですよ。それも、諸君が決して気づかないようなしゃべり方でね。これが、諸君の愛する帝国から得た保証の実体なんです。」
 
もちろん、SF 小説なので、鵜呑みにできないことは知っていましたが。でも、「言わないで言ったと見せかける」って、いかにもありそうだ。そしてそのインチキを科学的に分析できる!! と小学生のアタシは思ったのでした。
 
結局、現実には「記号論理学」といった、「式変形」で政治的レトリックを簡略化してみせる方法、というのは一般には実用化されてないんじゃないかと思います。
 
でも、これが『国会話法の正体』では
  • お答えを差し控えさせていただきます
  • お答えを控えさせていただきます
  • お答えを控えます
  • 答えません
  • 答えない
っていう「式変形」が書かれていて。70年前に、遠い未来世界の話としてアシモフが書いたのは、こういうことだったんだろうな。とニヤニヤしてしまいました。
 
そして、そもそもこういう「インチキ」が使えないように、言語そのものを改良してしまおう、というのが、1930 年代の Basic だったのです…。

 

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お読みいただきありがとうございました。