裏帳簿とか、犯罪の話じゃないです。

カシンです。これは、アタシ(50代・男)が聞いた、ある地域の風習について書くブログです。

ある人から聞いた話です。

その人の地元(主に農家)では、地域・親戚の繋がり(しがらみとも言う)が強くて、「昔ながら」の、季節ごと、機会ごとの付け届けが固く風習として残ってたそうです。

お中元、お歳暮。冠婚葬祭でのやり取り。入学進学就職祝い。機会に応じて、贈り物や現金の包みがあっちこっちと飛び交います。消防団長になれば手土産持って全団員に挨拶に行きますし、団員も手土産もって新団長に挨拶に行きます。

このシステムに(強制)参加している各戸では、このやり取りをそれぞれの出納帳で管理しています。誰がいついくら贈ってきたか。誰にいついくら贈ったか。現金ならそのまま書けますが、物だったら嫁が値段を調べてきて記入します。

そうして、実家と分家など、全体の階層関係の中での収支のバランスを調整する仕組みです。誰かに失礼があってはいけません。すべてのやり取りには、贈る人、受け取る人の地位ごとに相応の相場があり、適切な贈り物があります。出納帳は前例の記録として、極めて大切なものになります。

贈り物の多くは、日常の生活必需品ではなく。和菓子とか洋菓子。酒。嗜好品です。それを仲間内でぐるぐる贈り合って、次は誰に何を贈るんだっけ、といつも考えていたわけです。

これは、一地方の特殊なケース、というわけじゃなくて、多かれ少なかれ似たようなことが日本中で行われていたんだろうとアタシは想像します。
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で、その地域、その人たちはその後どうなってしまったかというと。

外部の不動産デベロッパーが入ってきて、農家はみな相続対策でアパート経営や駐車場経営を始めました。そうそう上手くいくはずもなく、みな土地を取られてどこかへいなくなってしまい。今では鉄道も通って新興住宅地になってしまったそうです。

つづく
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お読みいただきありがとうございました。