おはゆに61製セミトラは、2021年11月に販売開始し、お陰様でこれまで約600台に取り付けていただいており、ごく一部の例外を除き全車両で順調に稼働しています。そのごく一部とは、古い2スト車やXS・TX系等です。車両側からのノイズ起因と思われる現象が確認できています。そのため、セミトラの回路設計も工夫を重ねているところです。今回はその例をご紹介します。

 

一つは、配線シールドです。

配線は、長くすればするほどアンテナとして機能してしまいます。そのため、コイルやプラグコードからのノイズを”受信”してしまうことがあるわけです。ただ、電線をシールドしてしまえばその影響を防ぐことが出来ます。写真の網線がそのシールドです。この網線をアースに接続することで0Vの電位で電線全体を覆うことになります。

電線が短ければその対策の必要性も下がります。

 

もう一つは、電源安定化フィルターです。

写真で右に映っている小さなケースの中にそれを埋め込んでいます。内部は企業秘密ですw

セミトラの電源は、車両のジェネレーターやバッテリーから供給されているDC12Vですが、その電圧は一定の数値ではなく、刻々と変化します。波のようだったり、あるいは単発パルスが見受けられる場合もあります。車両によっても異なると思います。当方のセミトラでは、販売当初から内部にその対策となる素子を設置してはいますが、冒頭のようにトラブルが起きることがあるため、更に追加でフィルターを設ける必要があると考えました。

全ての車両に必要なわけではなく、トラブルが起きた場合に、対策として増設するというイメージです。

もちろん、予防的に設置しておくことは全く問題ありませんし、本来はその方が良いのかもしれません。セミトラユニット内部に最初から入れておく、ということも要検討だと思います。ただその分コストがあがりますので、どう折り合いをつけるか、ということですね。

 

さて、この二つを増設したセミトラ。

一つだけ在庫しています。

今後、トラブルが起きた場合には、そのユーザー様にお試しいただこうと思っております。

 

ただ、そのような対策を行ったセミトラでも故障させてしまう車両がこれまで1台だけありました。

よって、更に対策を重ねるべく研究中です。近いうちに商品に実装し、その車両で試していただけないか、当該車両オーナー様とご相談したいと思います。

 

【追記】ちなみに、セミトラユニットは国内で数名(社)が製作されていますが、そのうち2名(社)の製品を当方が修理依頼を受けて内部調査したところ、上記記載のノイズ対策は施工されていないことを確認しています。

当方のセミトラ内部に既に仕込み済のノイズ対策も、それらには実装されていないことも確認しています。

そのような対策がなくても、ノイズの少ない車両であれば問題なく動作しますが、ノイズによるトラブルの発生率という信頼性で評価すると、製品による違いは間違いなくあると思います。実際にどれくらい違うのかは、相当数を調査しないとわかりませんので、現段階ではあくまで当方の個人的見解です。ただ、他社製セミトラをお使いになったものの、故障したとのことで当方のセミトラをご用命いただいた方のなかで、当方のセミトラでもやはりトラブルが起きた、という方は当方の知る限り皆無です。

つまり、同じ車両でも、使うセミトラユニットによってトラブルが起きたり起きなかったするということです。これはとりもなおさず、セミトラユニットの信頼性に違いがあるということを示唆している結果だと考えております。

 

ノイズ対策は一朝一夕には成功しません。

当方は3年近くセミトラユニットを販売しておりますが、実はこれまで何回も信頼性向上のための設計変更を重ねております。うまくいったノイズ対策もあれば、あまり効果がなさそうなものも正直ありました。後者についてはその後の設計変更では逆に取り外して元に戻す、ということもしています。設計変更は、実装する素子の変更、ということもありますが、回路構成そのものを変更する場合もあります。その場合は、プリント基板を設計しなおし、改めて製作しています。

 

ノイズ対策には、今後もこだわって行っていきます。

既に99%以上の信頼性を確保しておりますが、これでは満足しません。

トラブルに合う確率を0.0000・・・%に近づけるため、研究開発と製品への実装にこれからも取り組んでまいります。