おはゆに61セミトラ(通称:マツトラ)のご購入様から以下のお声をいただきました。

 

この度はお世話になります、そして丁寧なご連絡有難う御座います。
車両はZ250FTになります。
現在は他出品者さんのセミトラ(名の通った自作品)を取り付けてあります。
ただ取り付けて間もなく、片側に火が飛ばなくなる症状が発生。(LEDが点灯しない、又は点きっぱなし)症状が出たり出なかったりで不安なので、今回品質を信頼して購入させて頂きました。

 

聞けば、そのセミトラとは、下の写真の品物で、世に知れ渡った製品です。そこで、私から故障調査や修理のご提案をしたところ、ぜひお願いしますとのことで、現品を送っていただいた。

以前に同様の故障調査をした製品は3ポイント用でLED無のものでしたが、今回は2ポイント用でLED有のものです。

 

さっそく、動作テストを行ったところ、やはり点火不良のようです。片側が点火しません。

 

早速、内部調査に臨みます。

 

このセミトラは内部をシリコンで埋め尽くされています。

バイクの振動により素子が外れることを防止するものとのことですが、ここまでしなくても良いのにといつも思います。ただ、この方の製品は手作りで空中配線(プリント基板に実装されず、リード線のみではんだ付けされている素子がある)とかもあるので、このようにせざるを得ないのかもしれません。

 

おはゆに61の2ポイント基板では、素子は全て基板に実装されているため、振動防止のために必要なシリコンの量はこれの1/10以下、あるいはもっと少ないかもしれません。

 

そのシリコンを根気勝負で取り除くと、出てきました基板。

 

 

3ポイントセミトラは1ポイント基板と2ポイント基板で構成されていましたが、その2ポイント基板そのものです。

ただ、今回のものはLED付きですので、回路が少し追加となっています。LEDはポイントの開閉に伴って点滅するものです。ポイント閉じのとき点灯、開きのとき消灯です。セミトラ動作のモニターにもなりますし、ポイント調整の時に重宝します。

 

さて、回路を解読するのに少々時間がかかります。

なるほどLED点灯回路は面白い作り込みがなされています。おはゆに61の回路とは全く異なります。どちらが良いのかはわかりませんが、このセミトラではLED点灯回路のため独立してトランジスタが使われています。おはゆに61ではトランジスタは使っていません。単にポイント開閉信号を取り込んで点滅させている超簡単な回路です。

回路は簡単な方が良い、と私は思いますが、いろんな考え方があると思います。

 

さて、その実装基板をよく観察すると・・・

 

んーーーー、外れている???

配線のハンダが、です。

 

ここをごそごそつついていると外れました。不完全接触していたようです。一見、つながっているように見えますが、電気は正直です。

 

私が解読した回路によれば、そこは片方のMOSFET制御のためのトランジスタエミッタ接地部です。ここの接地がとれていないと、片肺になります。LEDも点灯しませんね。現象があいます。

 

ということで、今回の故障原因が一応判明しました。

おはゆに61セミトラの場合、プリント基板上の回路は全て基板にエッチングされているため、同様のトラブルは発生し得ません。手作りは良いのですが、どうしてもこういうミスが起きてしまいます。この製作者はプロ級の腕前かとは思いますので、弘法も筆の誤り、というやつでしょうか。

 

さて、先ほど一応と言ったのは、片肺に関しては解明できたものの、当方でベンチ試験をした時に観測したイグニッションコイル一次電圧波形のピークがかなり低かったということについては未解明だからです。

 

これについては、また別途ブログにアップしたいと思います。