認知症は高齢者の中でよく見られる問題で、認知症の初期症状が現れた場合、早期の介入が非常に重要です。介護士として、認知症の早期発見とサポートができるかどうかが、利用者の生活の質を大きく左右します。認知症の初期症状はごく軽度であり、しばしば見過ごされることがあります。これらの症状には、記憶力の低下、言葉の問題、日常のタスクに対する困難さ、物忘れなどが含まれます。利用者自身やその家族がこれらの兆候に気付き、申告することが大切です。
認知症の早期介入は、利用者の生活の質の安定に影響します。適切な介入が早ければ早いほど、症状の進行を遅らせる可能性があります。また、早期介入により、患者や家族に対するサポートができ、ストレスを軽減できます。
認知症の初期症状が現れた場合、医師や専門家と連絡を取りましょう。そうすることで診断を受け、適切な治療や介護プランを立てることができます。薬物療法、認知症の教育プログラム、カウンセリングなどが早期介入の一部です。
介護士は、認知症の利用者にとって重要なサポートを行う存在です。早期介入することによって、介護士は利用者の日常生活を支え、安心感を与えることができます。コミュニケーションや活動の提案など、利用者ができる限り自立した生活を送るお手伝いを行います。
また、家族も認知症ケアにおいて不可欠な存在です。介護士は利用者の家族と連携し、情報提供や感情的なサポートを行います。家族との協力により、利用者のQOLが向上します。
認知症の初期症状を見逃さず早期介入を受けることは、利用者の生活の質を維持し、家族にも負担を軽減する手助けとなります。

訪問介護の仕事として食事介助がありますが、利用者にやさしく声をかけて、ベッドの背もたれを上げ、食事を口元にスプーンで運んでもイヤだといってそっぽを向いたり、お盆を払いのけようとすることもあります。これは、認知症状の低下に伴い、食事を拒否するという行為ということが多いようです。
この場合、まずは、よほど何かあるのだなと思うことが大切になります。そのうえで、どうすれば食べてもらえるかを考えていくのです。食事を拒否する利用者は、どのような援助を求めているのかを考えることが重要で、これまでの利用者の食事と、それにまつわる情報を整理していくことからはじめます。
これまでと今を比較したときに、たとえば食事の場所が食卓からベッドの上にかわったかとか服装が着替えていたのに今はパジャマだとか、食材を自分で選んで購入していたのに、今は訪問介護員におねがいしているなど違う箇所があることを発見できます。
これ以外にも、味噌汁を飲むとむせやせき込みがみられるため控えているとか、義歯があっていないとか、今までは仏壇に供えてから食事をしていたのにそれができない等、情報を集めると拒否の理由がみえてくるものです。その人らしさを尊重して食事をしてもらうためには、自分らしさと結びつき、携わりとくつろぎ、そして共にあるという5つのキーワードが大事です。食事場所や服装の見直しや小鉢に数種類盛り付けてみたりすることからはじまり、尊敬の念をいだき介護させてもらっていることを伝えたり、自分でできることはしてもらうなど、このようなことを事業所全体で考えると、アイディアもたくさん出てきてやりがいにもつながっていくことでしょう。

高齢者の身の回りの世話を行う介護の仕事では、取り組み次第で認知症の予防に貢献できます。例えば認知症にならないために心掛ける必要があるのが、寝たきり状態を避けることです。高齢者が寝たきり状態に陥ってしまうと脳機能の低下が著しくなり、認知症になる可能性は高くなります。そこで高齢者が寝たきりにならないように、介護スタッフによる高齢者の体力作りのサポートが欠かせません。
実際に介護施設では、日頃から高齢者の運動を促すように積極的にレクリエーションなどをスケジュールに取り入れていて、寝たきり状態の予防に確かな効果を上げています。他にも運動会などのイベントも介護施設では定番の運動を促す方法であり、体力作りだけでなく地域住人との交流にも役立ちます。
ただし運動には怪我のリスクが伴うため注意が必要であり、高齢者の運動中には安全への配慮が欠かせません。高齢者は骨が脆く、転倒すると骨折することも時として起こります。すると自力では立ち上がれなくなって、高齢者が寝たきり状態へと陥る事例も多いです。運動中の些細な怪我でも骨にヒビが入っていたり骨折している事例もあるため、高齢者の体の不調が見られるようであれば状況が悪くなる前に医師の診察を受けた方が望ましいです。
高齢者の怪我のリスクを避けるためにも、高齢者が運動する際には介護スタッフが身近にいてその様子を見守り、怪我から寝たきりになる要因を排除する備えが欠かせません。

 

介護の仕事では知っておくべき認知症の予防方法や認知症について【詳細:認知症の予防を考えて